ジャンボ、半世紀の歴史に幕?(2016年7月29日朝日新聞デジタル)
米国の航空機大手ボーイングが、「ジャンボ」の愛称で知られる大型旅客機「747型機」について、生産終了を検討していることが7月28日分かった。需要の低迷が背景にあり、半世紀近くの歴史に幕を下ろすことになりそうだ。
ボーイングは米証券取引委員会(SEC)に出した文書で「今後十分な受注を獲得できない場合は生産を終了することが合理的」と記した。このところ世界の航空業界では大型旅客機の需要が低迷していると説明している。
米国の航空機大手ボーイングが、「ジャンボ」の愛称で知られる大型旅客機「747型機」について、生産終了を検討していることが7月28日分かった。需要の低迷が背景にあり、半世紀近くの歴史に幕を下ろすことになりそうだ。
ボーイングは米証券取引委員会(SEC)に出した文書で「今後十分な受注を獲得できない場合は生産を終了することが合理的」と記した。このところ世界の航空業界では大型旅客機の需要が低迷していると説明している。
ひとむかし前までは航空機の代名詞的につかわれてきた「ジャンボ」。米航空機メーカーのボーイングが製造し、1969年に初就航してから今年までずっと最新型が作られてきた機体です。それまでの航空機は乗客数150~200人程度の機体が主流でしたが、ジャンボ機は一度に500人近くを輸送できる画期的な機体で、海外旅行の普及に大きな役割を果たしました。
(写真は2014年、日本最後のジャンボ機)
近年の航空機市場は活況で、今年7月に公表されたボーイング社の「2016年最新市場予測」によれば、民間航空機の市場規模は長期的成長が続くものとみられ「旅客数は今後20年にわたり毎年4.8%のペースで増加する」と見込んでいます。なかでも需要が急激に伸びているのが機内に通路が1本しかない単通路機(ナローボディ機)。安価な運賃のLCC(ローコストキャリア=格安航空会社)や新興国の需要が大きく、市場のほとんどをナローボディ機が占めます。
一方、ジャンボ機など通路が2つあるワイドボディ機の需要も伸びてはいるのですが、ジャンボ機のような超大型機の需要はどんどん下がっています。ジャンボ機はエンジンが4つついている「4発機」ですが、これは燃料がたくさん必要でコストが高くつきます。エンジンが2つだけの「双発機」は燃費はいいのですが、かつては飛べる距離に制限があり、大陸間を移動するような長距離輸送には4発機が使われてきました。ところが技術が進歩して双発機でも長距離を飛べるようになり、燃費の悪い4発機のメリットがなくなってきたのです。日本ではすでに全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)がジャンボ機の運航を終了しており、ボーイング社もジャンボ機にかえて双発機の「ボーイング777」などへのシフトを進めています。「空の女王」として航空機ファンの人気をあつめてきたジャンボ機も、時代の流れには勝てませんでした。
航空業界は就活でも人気の業界のひとつですが、その仕事内容についてみなさんはどの程度具体的にイメージをしているでしょうか。接客や空港のグランドスタッフといった目立つ仕事もありますが、たとえばこういった航空機をメーカーから購入してくる「調達」といった仕事もあります。1機200億円するような機種もありますし、機体に不具合があると大変なダメージをこうむることにもなるため、緻密な事務処理能力も交渉力も問われる大変な仕事です。先日インタビューしたJAL入社2年目の調達部門の女性社員は調達した機体を受け取りに行った仕事を振り返り、「1日でも運航スケジュールに間に合わなければどれだけの損失が出るか聞かされているので、責任重大でした」と語っています。航空業界を目指すならば、こういった航空機のトレンドについて知っておいて損はありませんし、重電・機械メーカーの動向にも航空機の市場の動きは大きくかかわってきます。想像力を豊かに、アいンテナを幅広くはってください。
2024/10/13 更新
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