「ネットにつながる車」開発加速 自動車と通信連携強化(2016年7月24日朝日新聞デジタル)
自動車業界と通信各社の連携が強まっている。インターネットにつながる車「コネクテッドカー」の開発で、通信会社のノウハウが必要になるためだ。コネクテッドカーの需要は急速な伸びがみこまれ、各社が研究を加速している。
ホンダは21日、ソフトバンクと人工知能(AI)を積んだコネクテッドカーの研究で協力すると発表した。AIがセンサーなどを使って、運転者の声や表情から感情を分析し、それにあわせた反応を音声で発する。
未来の自動車「コネクテッドカー」
就職活動では、志望する業界の「先を読む」力が問われます。情報技術の進歩により、10年後も同じスタイル、同じビジネスモデルで動いている業界はいまや存在しないと言って過言ではありません。みなさんが会社に入り、一線で活躍するころにその業界はどんな姿になっているのか、少なくともそのことを考えることができるタイプの人を企業は求めています。
今回は自動車業界を例にとりあげます。この記事に出てくるキーワードはインターネットにつながる自動車「コネクテッドカー」。総務省の平成27年版「情報通信白書」によれば、自動車がネットとつながることで、①事故時に自動的に緊急通報を行うシステム②走行実績に応じて保険料が変動するテレマティクス保険③盗難時に車両の位置を追跡するシステム、などが実用化されつつあるそうです。
テレマティクス保険って何?
①や③はなんとなく想像がつきますが、②のテレマティクス保険というのはイメージがわきにくいですね。たとえば、あいおいニッセイ同和損害保険の商品「つながる自動車保険」は、車から得られたデータをもとに走行距離を算出し、それをもとに保険料を決める仕組みです。「今月はほとんど車に乗っていないのに保険料を払うのは納得いかない!」という不満にこたえる商品ですね。また、ソニー損保の「やさしい運転キャッシュバック型」という商品は、専用の端末を車につけてアクセルやブレーキ操作をチェックし、運転の「スムーズさ」の度合いを数値化してそれに応じて保険料を割り引く仕組みです。現状は専用端末に通信機能はありませんが、これがスマートフォンに代替されればさらに普及するかもしれません。
スマホが車も動かす
普及してもう20年近くになるインターネットですが、いま自動車との連携が注目されるようになった理由はなんでしょうか。情報通信白書では無線通信の高速・大容量化のほか、車載情報通信端末がスマートフォンなどで代替できるようになったことがあげられています。スマホの普及は、こんなところにも影響を及ぼしているわけです。
求められる高い安全性
一方でこの記事は、車を外部とネットでつなぐためにハッキングの危険性が高まり、安全対策も課題となる、と結んでいます。7月26日の今日の朝刊「スマホが私を証明! 三菱UFJが本人確認導入へ」でも、情報をスマホに一元化することで便利になる反面、通信ネットワークが途絶えたりシステムがサイバー攻撃されたりした際のダメージがきわめて大きくなると指摘しています。自動車は人の生命も左右するものだけに、システムのエラーや悪意のハッキングによる悪影響は限りなく大きく、安全性に関しては相当に高いレベルが求められるでしょう。業界の未来像を考える際には、新たな技術が広がることによる「メリット」と「デメリット」の両方を考えられるようにすると、より思考の幅が広がります。