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2016年04月20日

東芝・富士通・VAIOのPC統合が破談へ? 背景を考える

精密機器・電子機器

パソコン統合、破談 東芝・富士通・VAIO(2016年4月19日朝日新聞朝刊)

 東芝と富士通、ソニーから独立したVAIOの3社によるパソコン事業の統合交渉が決裂し、白紙となったことが18日、わかった。パソコン市場の伸び悩みを背景に、統合後の成長戦略を描けないとの判断に至ったとみられる。各社はパソコン事業をめぐる戦略の練り直しを迫られる。

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 東芝は「ダイナブック」、富士通は「FMV」、そして社名にもなった元ソニーの「VAIO」……かつて国内家電メーカーの象徴的存在でもあったパソコン(PC)のブランドがいま、風前の灯火となっています。国内のPC市場はスマホに押されて縮小の一途をたどり、調査会社のIDC Japanによれば2015年のPC出荷台数は前年から31.4%も減少しました。同社は、PCの性能が向上し故障しにくくなってきたことで買い替えの需要すら減ってきている、と分析しています。ユーザーにとってはありがたい話ですが、メーカーにとっては死活問題。そのため、今回の記事の前提となるPC事業統合の話が持ち上がったわけです。

 東芝はご存じの通り不正会計問題でガタガタとなり、採算のとれないPC部門の切り離しを模索していました。その売り先として浮上してきたのが、VAIOの親会社の投資ファンド、日本産業パートナーズ(JIP)だったのです。同じくPC部門の赤字転落を予想していた富士通も、この話に乗ったとみられます。

 統合すればどんないいことがあるか。まず、これまでは3社バラバラで購入していた部品の調達を共通化することで、購入する規模が大きくなり、値下げ交渉がしやすくなるというメリットが考えられます。総務、経理、人事、さらに営業といった部門も共通化すればコストを削減できます。3社とも国内外にPC生産拠点を持っていましたが、これも統一することでさらなるコストカットが可能になります。国内市場に上昇の兆しが見えないことを考えれば、PC事業生き残りのためには世界で戦える商品開発が欠かせません。3社の頭脳を集約すれば、アップルやサムスンに対抗できる強みをもつ商品開発も可能になるかもしれません。

 ただ、これはいずれも3社が身も心も一つになり、統一したブランドで戦う場合の話です。今年2月18日の報道によれば、ダイナブック、FMV、VAIOのブランドはすべて維持し集約はしない方向だったとのことです。また同じ記事で、東芝が中国・杭州市に保有する工場の扱いをめぐり、東芝と富士通との間で意思の隔たりがあったとも指摘されています。これでは、そもそも統合のメリットすら生まれなさそうですね。破談の背景には、こういった3社の意識のずれが影響したのではないでしょうか。

 東芝も富士通も、PC事業の切り離しはなんとしても進めたいところ。今回の破談で、海外メーカーへのブランド売却といった道も模索していくことになりそうです。メーカー志望のみなさんにとっては、今後自分の所属する事業部門に降りかかるかもしれない動き。ぜひ今後に注目してください。

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