長崎が「本社」の上場企業、ゼロに 全国唯一(2016年3月2日朝日新聞西部本社版)
長崎市に本店を置き、東京証券取引所第1部に上場する十八銀行が、福岡市が本拠のふくおかフィナンシャルグループ(FG)と経営統合し、来年4月、完全子会社になるため、同3月末に上場廃止となる見込み。そうなれば、長崎県内が「本社」の上場会社がなくなる。
長崎市に本店を置き、東京証券取引所第1部に上場する十八銀行が、福岡市が本拠のふくおかフィナンシャルグループ(FG)と経営統合し、来年4月、完全子会社になるため、同3月末に上場廃止となる見込み。そうなれば、長崎県内が「本社」の上場会社がなくなる。
東証の基準では、上場会社の「本社」は登記上ではなく、実質的に「本社機能」がある場所となっているそうです。たとえば、東証1部上場で「長崎ちゃんぽん」でおなじみの外食チェーンのリンガーハット。登記上の本店所在地は創業の地である長崎市鍛冶屋町ですが、本社は東京都品川区大崎に置いています。
新聞の株式欄の東証1部を見ると、ずらっと地方銀行が並んでいます。地方銀行は「地元密着型」企業の典型なのですが、この業態を揺るがしているのが日本の少子化です。2月27日の朝日新聞西部本社版に「人口減、生き残りへ統合 ふくおかFG ・十八銀行」という解説記事が出ています。それによると、長崎県内には佐世保市が地盤の親和銀行があり、2007年に一足先にふくおかFGの子会社になっていました。両行は県内でライバル関係だったのですが、ふくおかFG傘下のもと2018年に合併するというのです。両行計188店のうち「50店程度の統廃合を検討する」といい、店舗のリストラが進みます(「人員削減はせず、営業要員強化や新規事業に充てる」とのこと)。
この記事によると、この1年で全国的にみると地銀の経営統合の発表は今回を含め4件にのぼっています。背景にあるのは、「人口減と地場産業の衰退だ。国の専門機関は、今後30年以内に全都道府県で人口が減少すると推計する。預金流出や貸出先の減少が全国の地銀を脅かしている」という状況です。それに追い打ちをかけているのが、マイナス金利政策です。地域密着型ゆえにメガバンクのように市場を求め海外投資に打って出るわけにもいきません。NHK大河ドラマ「真田丸」ではありませんが、小さい県で「国衆同士」がいがみあっていたら共倒れになりかねない、そんな切羽詰まった状況が、「十八銀行の上場廃止で長崎の上場企業ゼロに」のニュースの背後にはあるのです。
地方創生が唱えられていながら、一方では地域密着型の金融機関である地方銀行の看板がつぎつぎ消えていっています。それは経済合理性からいって望ましいことなのか、それとも地域活性の足かせになるのか。地元で就職を希望する就活生のみなさんには、とくに注目してほしい課題です。
2024/10/16 更新
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