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2016年02月08日

海運ニッポンのたそがれ? “倒産”第一中央汽船、スポンサー難

運輸

第一中央汽船再生 支援会社選べず 計画案提出を延期(2016年2月4日朝日新聞朝刊)

 民事再生手続き中の中堅海運会社・第一中央汽船は、再生を支えるスポンサーを選べず再生計画を期限内に提出できなかった。東京地裁に3月末までの期限延期を認められた。債権者には同社と長期契約を結ぶ船主が多く、その賛同が得られなかった。入札で絞られた支援企業に海運会社が含まれず、海運会社外のスポンサーだと契約打ち切りが心配されるからだ。

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 四囲が海で貿易立国の日本は「海運国」とも呼ばれます。しかし、このところ、その海運が振るいません。中国を筆頭に新興国の景気にブレーキがかかり、資源運搬需要が低迷しているのです。この記事に「バルチック指数」という指標が登場しますが、これはロンドンのバルチック海運取引所が調査・公表している「ばら積み船(梱包されていない穀物や鉱石、セメントを積む貨物船、トランバー)」の運賃で、1985年1月を1000とする指数です。今年2月3日のバルチック指数はなんと303、過去例を見ない最悪の市況です。
 第一中央汽船のホームページを見ると、「第一中央汽船グループは、ばら積み貨物輸送を事業の中心とした不定期船会社です」「世界一のリーディングトランバーになることを目指しています」とあります。ブラジルやオーストラリアの資源国から、中国などの新興国や日本に鉄鉱石などを運んできましたが、その主力事業の運賃がこれではたまりません。さらに鉄鉱石から出来る鉄鋼も世界的にダブつき、鉄鉱石の動きも鈍くなっています。その結果ついに昨年9月29日に、民事再生法の適用を東京地裁に申請することになったのです。朝日新聞の記事によれば、負債総額は約1760億円でした。
 記事によれば同社は「2010年ごろに、それまで20隻ほどだった船を約250隻に増やす積極策を取った」とあります。リーマン・ショック後の景気回復期にうって出た積極策が、いまになって大きく裏目に出たのですね。
 さて、第一中央汽船の筆頭株主はどこかというと、海運3大手のひとつの商船三井です。その商船三井が、2016年3月期の連結最終損益が1750億円の赤字になるという予想を発表しています。第一中央汽船の負債額に匹敵する巨額赤字。じぶんのところが一大事なのに、助けにいく余裕はありませんでした。むしろ自社の「ばら積み船」船隊を縮小するリストラを模索しているくらいです。今回の赤字は、船を処分するなどの構造改革に係わる費用のためと商戦三井は説明しています。企業が一度広げたビジネスを縮めるのは至難ということが、海運会社の盛衰をみてもわかります。わたしたちは世界経済の大きなウズの中にいることをつねに念頭に置いてください。

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