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2015年11月20日

ポルトガルの風力発電で三菱商事と組む千代田化工って?

機械・プラントエンジニアリング

ポルトガルで風力発電(朝日新聞2015年11月18日朝刊)

 三菱商事と千代田化工は、ポルトガル北部沖合での洋上風力発電事業に参画する。現地の電力会社など海外3社と共同出資会社をつくる。発電容量は、同国の約3万世帯が使う量にあたる25メガワットにあたる。総事業費約160億円。2018年の稼働を目指す。

 三菱商事と千代田化工の出資比率は20%ずつです。総合商社の三菱商事と並んで出資社に名を連ねる千代田化工の正式名称は「千代田化工建設株式会社」。BtoB(企業間取引)の会社なので認知度はそう高くないかもしれませんが、石油化学の工場など超大型の設備を手がける東証一部上場の総合プラント建設・エンジニアリング企業です。ポルトガルの風力発電事業は、同社初の海外向け電力事業投資。同社のサイトを見ると、この事業に乗り出したワケがわかってきます。

 サイトなどによると、この会社の創業は敗戦後間もない1947(昭和22)年。壊滅状態だった石油産業の復興を期しての創業で、三菱石油(現 JX 日鉱日石エネルギー)の技術者たちが参画しました。もともと〝三菱〟と縁が深い企業だったのですね(2008年に三菱商事と資本業務提携しています)。高度成長期に製油所や石油化学プラント建設でグローバル展開し、急成長。しかし1990年代になり、韓国勢の追い上げなどで国際競争が激化し、一時営業利益が赤字になるなど低迷期がありました。その後、世界のエネルギーメジャーが石油から液化天然ガス(LNG)にシフトするなか、同社もLNGをコア事業にして業績を伸ばしてきました。

 そして現在。千代田化工の中期経営計画(2013~2016年)には成長戦略として、「事業投資の加速、および再生可能エネルギー分野の強化・拡大」が掲げられています。大規模太陽光発電所の建設や水素エネルギー活用の実証実験など幅広く手がけていて、ポルトガルの風力発電事業も、この戦略の一環です。千代田化工はグローバルな経済情勢の大きな流れのなかで脱皮を繰り返しています。過去・現在・将来の企業のコア事業、成長戦略は何かを押さえる。これは企業研究の基本ですね。

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