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2015年11月06日

ついにセブンイレブンが空白区の鳥取〝上陸〟

流通

いちからわかる! コンビニの経営統合 (朝日新聞2015年11月4日朝刊)

コブク郎 最近、コンビニエンスストアの経営統合の話を耳にしたよ。
 売上高で業界3位のファミリーマートと、4位のサークルKサンクスが来年9月に経営統合する件だね。ファミマは中堅のココストアも買収している。2位のローソンを抜き、1位のセブン-イレブン・ジャパンを追う規模になる。(中略)
 なぜいま、経営統合する必要があるの?
 国内にあるコンビニは5万店を超えるが、増え続けているし、競争は高まっている。系列の数が増えれば、仕入れ量が増え、食品メーカーなどでの仕入れの交渉がしやすくなる。商品を効率良くトラックで運べて節約効果もある。(略)
 街中は大手ばかりになってしまうのかな。

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 「いちからわかる!」の欄は、中学生でもわかるくらいに時事問題をかみ砕いて解説するコーナー(実際の記事は漢字にフリガナつきの丁寧さです)。ややこしい時事問題を頭に入れるには便利です。今回のこの解説からは、コンビニ5万店時代の競争激化を乗り越えるための提携・業務提携の流れがわかりやすく読み取れます。最後のコブク郎の心配に、記者は「小さくても光る個性で残り続けるコンビニもありそうだよ」として「店内調理の温かい総菜が受けている北海道のセイコーマート」を例に挙げて記事は終わっています。

 では、もはやコンビニは飽和状態にあるのでしょうか。いえ、そうではないのです。
 朝日新聞の10月16日鳥取版に、「セブンイレブン、米子に2店開店 30日、県内初」という見出しで、こんな記事がでていました。
<セブン&アイ・ホールディングス(東京)は15日、鳥取県初のセブン―イレブン(コンビニエンスストア)が米子市内に30日に開店すると発表した。「米子角盤町2丁目店」と、JR西日本山陰開発(松江市)との提携による「ハートインJR米子駅店」(JR米子駅構内)の2店。セブン―イレブン・ジャパンによると、これで全国でセブン―イレブンがない都道府県は沖縄だけになる。>

 全国に1万8000店以上もの店舗をもつ業界最大手のセブンイレブンなのですが、なんとこれまで鳥取県には出店していなかったのです。この謎を解くキーワードのひとつが、コンビニの出店のマーケティング理論である「ドミナント戦略」です。ドミナント(dominant)には「支配」や「優勢」という意味があります。あちこちの地域にばらばらに出店するのでなく、マーケティングをして「ここはいけそうだ」というエリアを絞り集中的に出店、そのエリアのシェアを根こそぎ浚(さら)おうというやり方で、セブンイレブンが従来から推し進めてきた手法です。

 「ドミナント戦略」の強みは、同じチェーンの店舗が近くにあれば、流通拠点からのトラックによる流通コストも確実に下げられるという点です。裏を返せば補給路がしっかりしていなければ、セブンイレブンも出店しないというわけです。鳥取エリアへのセブンイレブンの進出が遅れたのには、この補給路でのネックがあったようです。

 参考になるのが、セブンイレブンが今年初進出した高知県のニュースを伝える朝日新聞高知県版の記事「セブン-イレブン、県内に初進出 高知に3店オープン、都道府県44番目」(2015年3月7日)です。この記事の中で、店舗開発を担当する増田彰リクルート本部長は「まずは高知市近隣だけの出店になるが、県東部と県西部をつなぐ高速道路が開通すれば出店エリアはぐっと広くなる」と語っています。高速道路がセブンイレブンの出店を促していることがわかります。鳥取県の場合、今年3月に広島県尾道市と、鳥取県の西隣の島根県松江市を結ぶ中国横断自動車道尾道松江線(通称・中国やまなみ街道)が全線開通しています。これで尾道-松江間が従来から80分短縮され、2時間半で結ばれるようになりました。今回セブンイレブンが出店するのは鳥取県の中でも県西部の中核都市、米子市。米子-鳥取間は90キロちょっとあり、県都である鳥取市への出店はまだ先になりそうです。新聞記事はニュース感覚を磨くための素材です。いろいろな角度から読んでみてください。思わぬ発見がありますよ。

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