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2015年11月04日

富士通がPC・携帯事業を分社化 そもそも分社化って?

家電・総合電機

富士通、PC・携帯を分社化(朝日新聞2015年10月30日朝刊)

 富士通は29日、パソコンと携帯電話端末事業をそれぞれ分社化すると発表した。来春をめどに、100%子会社にする。業績への責任を明確化し、経営判断のスピードを早め、事業の立て直しを目指す。

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 富士通のパソコンといえば「FMV」シリーズですね、といってもピンとこない人が多くなったのかもしれません。そもそもパソコン自体、特に若年層にとってはスマホやタブレットに押されて縁遠いデバイスとなりつつあるようで、ジャストシステムの2014年9月の調査によると10代の若者がPCを通じてネットに接続する時間は1年前の調査に比べて約3分の2に減ったとのことです。市場全体を見るとパソコンの低落傾向はタブレットブームが一段落したことで底を打っているのですが、記事では富士通のPC事業はアップルやデルといった海外勢との競争が激しく世界シェアが1.7%にとどまるとも指摘。iPhoneに押されるスマホ事業は言うに及ばずということで、両事業を立て直すための選択が「分社化」となったというわけです。

 ところで「分社化」にはどんなメリットがあるのでしょうか。記事で指摘されているのは「業績への責任を明確化」「経営判断のスピード化」です。富士通の田中達也社長は経営方針説明会で「(現状では)事業そのものが調子が悪くても全体としてもうかっていればいいという甘えの構造が出てしまう」とし、分社化で「外の空気にさらされながら、市場をきちっと捉えていくことが重要」と述べています。

 外の空気にさらされるとどうなるか。ひとつは勝てない分野から遠慮なく撤退して勝てる分野に特化するといった大きな経営判断が取りやすくなる、というよりも取らざるを得なくなります。例えばソニーからPC部門が売却され誕生した「VAIO」社は、20万円近い高級機や頑丈なノートPCなど商品ラインナップの売りをはっきりさせる戦略に出ました。個人向けから企業向けまで、タブレットからデスクトップまで幅広い商品戦略をとっている富士通PC部門にとって分社化は、世界で戦える分野への特化に大きく舵をきる契機となるかもしれません。

 一方でこの動きには事業拠点の見直しや人員整理、人件費見直しなどの大幅なリストラも伴います。これもまた、分社化による(裏の)メリットの一つとも言えるでしょう。本社にいたままではリストラには様々な障壁があるのですが、分社化により「はやく一本立ちしなければ会社ごとつぶれてしまう!」という危機感をバネにリストラがしやすくなるわけです。本社からすれば、分社化により他の会社との事業提携や事業まるごとの売却といった経営判断もしやすくなります。

 社員にとってはリストラに直面するわけで手放しで賛同できるものではないですが、分社化後に本社をしのぐほどの収益を稼ぐ会社に成長したというケースもなくはありません。志望する業界ではどんな動きがあるか、細かく注意してみていくと面白いと思いますよ。

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