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2015年08月25日

「無人ファミマ」倍増予定 ニーズは街の中にある

流通

「無人ファミマ」オフィスで人気 2018年春までに自販機倍増へ(2015年8月25日朝刊)

 ファミリーマートは、おにぎりや弁当を扱う自動販売機を増やす。いまは首都圏や東海、関西でオフィスを中心に約1500台を置いているが、2018年春までに倍増をめざす。コンビニの定番商品が手近で買えることから、サラリーマンの支持を得ている。
 今は60種類の商品を売る自販機もあり、パスタやサラダ、シュークリームも扱う。商品は1日1回、昼食前に補充する。近くにコンビニはあっても、外出するのが面倒な高層ビルでの需要が増えている。さらに地下鉄の駅構内や、高速道路のパーキングエリアにも置いている。

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 そういえば、確かに都心部の駅構内でおにぎりやサンドイッチが買える自動販売機が増えてきたと思いませんか。人件費の問題もあり駅ナカの小さな売店が続々と撤退している昨今、軽食や飲み物が手軽に買える自動販売機のニーズは高そう。コンビニ側としても実際に店舗を出すとなるとハードルは高くなりますが、自動販売機ならば気軽に展開できるため、これまで取りこぼしてきたニーズを細かく拾い上げることができるわけです。今後伸びそうな業態ですね。

 でも、なぜこれまでこの業態は伸びなかったのでしょう。自販機コンビニは1996年に「am/pm」が始めました。都心部に多く展開していた同社は今後の人件費や家賃の上昇を見込み、自販機による無人化をすすめようとしたのです。ただ当初は普通の店に置き換える形で自販機店舗を展開しようとしたため、他のコンビニに人が流れただけで定着はしませんでした。そこで考えたのが事業所への展開。セキュリティーが厳しく外出もままならない会社のオフィスなどに売り込みをかけていき、じわじわと販路を拡大していきました。その事業を引き継いだのが、ファミリーマートというわけです。

 コンビニ業界は合従連衡が進み、競争は熾烈に。新たな販路探しは必須となっています。また、食品や日用品などを独自のブランドで企画、販売する「プライベートブランド(PB)」戦略もかなり浸透してきました。自販機の形でファミリーマートの名前とファミマのPBを広げていくのは、コンビニ戦争を勝ち抜く上でも重要な戦略となってきたのです。

 人口が減っていく日本で、これからどう売上を確保していくか。ニーズは街の中にきっと眠っています。流通・小売業界を志す人は心にとめておいてください。

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