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2015年07月07日

タウンページが大変化! オワコンメディアのサバイバル術

通信・インターネット関連

タウンページ、ローカル色前面 広告主戻す狙い(2015年7月3日朝刊)

 ケータイがなかったころ、一家に1冊はあったNTTの職業別電話帳「タウンページ」が、地域ごとに違うカラフルな「まちの情報誌」に変わりつつある(写真)。一律で黄色だった表紙から脱却。インターネットとも連携してお店探しを手伝い、広告主を呼び戻すねらいがある。

 6月発行の「新潟市版」は、地元ブランドのイチゴ「越後姫」が大きく表紙を飾る。ページを開くと、いちご狩り体験記や地域のイベント案内も。「甲府市版」はブドウやモモ、「群馬県高崎市版」は街の名物パスタなどを表紙と連動して載せた。「熊本市版」の表紙は、ご当地のゆるキャラ「くまモン」だ。

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 インターネットと携帯電話の普及で、すっかり使われなくなったもの、いわゆるオワコン(終わったコンテンツ)になったものはたくさんあります。数字によるメッセージを伝える「ポケットベル」(ポケベル)や、待ち合わせの変更時に利用していた「駅の黒板」など。NTTが発行している「電話帳」(冊子のもの)も、オワコンになりつつある一つかもしれません。職業ごとに分類されている「タウンページ」や個人、企業の電話番号が五十音順に並んだ「ハローページ」を子どものころに見たことがある方は多いと思いますが、スマホで簡単にいろんな電話番号が調べられるようになった今、存在価値は急落。タウンページの情報は「iタウンページ」でもほぼ見られるようになり、紙のほうの発行部数は1996年度の6205万部から2013年度は3883万部にまで落ち込みました。

 そんな紙電話帳の復権をめざした取り組みを紹介しているのがこの記事です。「タウンページ」はこれまでどこの地域のものでも黄色一色でしたが、2014年7月からその方針が大きくかわり、各地域ごとに編集長がついて表紙をリニューアル。記事では地元の商品やご当地ゆるキャラを表紙にした例が紹介されています。群馬県高崎市で配布するタウンページは市内110店のパスタ店やパワースポットの特集を載せ、千葉県柏市版の表紙には柏のゆるキャラ「カシワニ」と「さかサイ君」が登場。各種行政手続きや相談窓口一覧といった市民情報と組み合わせた冊子や、災害時に役立つ情報を集めた別冊を作る取り組みも進んでいます。いずれも、紙の電話帳をたくさん手に取ってもらい、タウンページに広告を載せようという広告主を呼び戻すための方策なのです。

 広告といえば2015年6月20日夕刊紙面で、公立図書館にある雑誌のカバーに広告を掲載する「雑誌スポンサー制度」という取り組みが紹介されていました。図書館の雑誌や新聞購入費が削減されるなか、雑誌をくるむカバーに広告を出してもらい広告費を雑誌購入費にあてるという仕組みで、朝日新聞の調査では全国350館以上に広がっているそうです。ただ、すべての企業が安定して広告を出し続けてくれるわけではありません。秋田県立図書館ではスポンサー企業が館内に集まって情報交換や異業種交流ができる「スポンサーズ ビジネスカフェ」という場をつくり、スポンサーのつなぎとめをはかっているそうです。

 世の中の移り変わりとともに廃れたり維持が大変になってオワコン化するものはたくさんありますが、こういった工夫ひとつで再生や存続への道が開けたりすることもあります。今回の取り組みはいずれも「広告」という方法を使い、一方はこれまでの紙面をかえて魅力をたかめ、一方はこれまで使われていなかった場所をスポンサーに提供することでサービスの存続につなげるというものでした。特にBtoC(消費者向けビジネス)企業を志望する方は、「広告」という切り口でいろいろなサービスのありかたをチェックしたり考えたりすると、面接で話すネタが増えると思いますよ。

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