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2015年06月26日

使える! 社長のことば ワコール社長の発言にみる

アパレル・ファッション

(トップが診る)ワコール 安原弘展社長 (朝日新聞6月23日朝刊)

 ワコールが手がける40~50代向けミセス、シニア向けの7000~8000円台のブランドものブラジャーなど、百貨店向け下着の売れ行きが停滞している。安原社長は、「(今年1月の改正で)相続税の課税最低限を引き下げるというアナウンス効果が大きくなった時期と重なります」という。

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 新聞にはよく「社長の発言」が載ります。その企業は今後どうなるのか、業界はどうなっていくのか。最高責任者の発言には重みがあり、業界・企業ウォッチングには欠かせない一級の資料です。

 今夏の記事で安原社長は引用した部分のほか「消費税率がこのあと10%になること」や「年金が減ること」を挙げ、下着売れ行き停滞の背景として将来に不安がなかった人たちが「ちょっと不安になっているのではないでしょうか」とみています。支出を手控えようという風潮を感じ、「シニアからミセスの中間層向けの商品は、いままで『消費の鉄板』と言われていました」と危機感を募らせています。

 そのときどきの消費者心理を読むことは、企業トップのたいせつな仕事でしょう。2014年11月20日付け朝日新聞朝刊の「百貨店売上高2.2%現 10月前年比 減少幅広がる」という記事によると、全国の百貨店の売上高は昨年4月の消費税10%アップから7カ月連続の減少でした。この記事のなかで高島屋の木本茂社長はやはり、「売り上げ規模の大きい婦人服の販売に元気がない。物価の上昇に収入が追いついていないのではないか」と、トレンドを読んでいます。ちなみに、消費税値上げから1年経った今年4月の百貨店売上高は、消費増税で落ち込みが激しかった前年同月と比べれば13.7%増でしたが、全体の売上高を増税の影響がない2年前の4月と比べると0.1%増で、ほぼ横ばいだったそうです(「百貨店売上高 増税前の水準」朝日新聞2015年5月20日朝刊)。百貨店については消費増税の悪影響からは脱出の兆しがあるようですね。

 しかし冒頭の記事で、安原社長は、消費増税後に厳しかったシニア、ミセス向けブランドがどう動いていくのか「もう1回、新しい商品的アプローチをしたうえで、戻るかどうか見極めたいと思っている」と攻めの姿勢をにじませています。ESを書くうえでも、面接でも、こうしたトップの発言を活用しましょう。「御社の○○社長が、新聞でこんな発言をされていました。私も、△△の面での商品開発がいま求められていると思います」などと、社長のことばを引きながら、あなたの思いや考えを採用担当者に伝えれば、説得力がアップします。この手、先輩が結構使っています。あなたも、いかが?

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