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2015年06月05日

農林水産品ブランド守る「GIマーク」って何?

食品・飲料

地域の農産物守る「GIマーク」始動(2015年6月2日朝刊)

 地域独特の農林水産物のブランドを守る「地理的表示保護制度」(GI制度)が始まった。初日は「夕張メロン」(北海道)、「神戸ビーフ」(兵庫県)など19品目の申請があった。登録されれば、農水省が定める「GIマーク」をつけて販売できる。年内にも登録1号が決まる。

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 GI(Geographical Indication)制度は、産地に根ざした製法で生産・加工され、それによって統一した品質が確保されていると認められた農林水産物に国がお墨付きを与える制度です。地域の業界団体などから申請し、農林水産省が審査して決定します。知的財産権の一種として、不正使用には法人なら3億円の罰金、個人では5年以上の懲役または500万円以下の罰金、または両方が科せられます。けっこう厳しいですね。

 ブランドbrand(英語)には「焼き印を押す」の意味があります。焼き印は古くは他の家畜と区別するための消えない目印として押されました。現代の消費者はブランドを目印に財布のヒモをゆるめるというわけです(もっとも今時、ヒモの付いた財布を使っている人なんていませんがね)。GI制度は今回創設されたものですが、ルーツはフランスのワインに関する法律による格付制度、第二次世界大戦前の1935年に制定された原産地統制呼称法(A.O.C.=Appellation d'Origine Contrôlée) に遡ります。厳格な製法を守って品質を確保しているワインへの国の委員会によるお墨付きであり、フランスワインの3~4割がA.O.C.と認められ、ラベルに麗々しく書かれています。A.O.C.によるブランド管理が世界に冠たるフランスワインを生んだと言ってよいかもしれません。その延長線上でEUは1992年、ワイン、チーズ、ハム、オリーブ、パン、果物などに原産地名称保護制度(P.D.O.=Protected designation of origin)を創設しました。

 GI制度の背景には、輸入品に押されまくる農林水産業の保護や輸出を含めた販売促進、食の安全についての国民のこだわりがあります。スーパーマーケットなど流通や商社を志望する就活生にとって、ニュ-フェイスのGI制度は見落とせないキーワードです。「このGI制度をビジネスに生かすアイデアはありませんか?」――そんな質問もESや面接で出るかもしれません。

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