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2015年05月26日

空き家ビジネスに大手企業続々参入 その戦略とは?

建設・不動産・住宅

ほったらかし空き家対策ビジネス 増税をにらみ先手(2015年5月19日朝刊)

 不動産会社が、所有者にかわって「空き家」を管理するサービスに力を入れ始めた。空き家対策特別措置法が5月26日から完全施行され、ほったらかしの空き家が増税されたり強制撤去されたりするかもしれないからだ。持ち主の売却などの相談にものり、ビジネスを広げるねらいがある。

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 ビジネスの種はどこに眠っているのか、その種をどう咲かせるといいのか--その考え方のヒントとなる記事です。

 記事にもあるとおり、日本の空き家数は年々急増し、20年前に比べて1.8倍にふくれあがっています。空き家率は、欧米諸国と比べて3~4倍という高さ。木造建築が主流で耐用年数が短いためとはいえ、需要をはるかに超える住宅がつぎつぎ市場に投入され使い捨てられてきた結果の数字ともいえます。なにが「MOTTAINAI」の国なのかと嘆きたくなりますね。国もついに対策に乗り出し、5月26日から施行される「空き家対策特別措置法」では自治体が定めた「特定空き家」に関して税制上の優遇がなくなり、さらに自治体からの是正勧告を無視すれば取り壊しができるようにもなりました。現状では家が建った状態だと土地にかかる「固定資産税」が安く済むのですが、この法律により固定資産税が最大6倍にもなるため、空き家を売り払おうとする動きが今後加速しそうです。

 その動きをにらんで誕生したのが記事中にあるビジネス。家を空き家の状態にしないよう、雑草を抜いたり郵便物を回収したりで、月1回70分で1万円、さらには空き家に残された家具を整理するサービスも展開する予定だそうです。

 この値段、高いと思いますか安いと思いますか? 空き家の所有者からすれば、年間ウン十万にもなる固定資産税を節減できるのならば月1万円の出費は「安い」でしょう。一方、サービス提供側からすれば作業員の手間賃や交通費などを考えると「安すぎる」値段設定とも思えます。遺品整理なども基本的には手間が非常にかかりますね。

 不動産会社のねらいは、ここで十分なサービスを提供することで、いざ空き家を処分する時の窓口としても選んでもらうことです。不動産の売買手数料は家を掃除する手間賃に比べて非常に高く、ここでペイできる、という計算です。大東建託や三井不動産リアルティ、住友不動産販売といった大手不動産会社がこのサービスに目をつけたのも、少々損(投資)をしてでも最終的には空き家の売買契約を受託するため、ということですね。

 一方、空き家をリノベーションして安い家を探している消費者とマッチングするサービスを展開する会社も増えています。消費者の細かなニーズをすくいとって空き家の活用につなげる仕事はむしろ中小のリフォーム会社などが得意とするところ。会社の体力をいかしたビジネスを考えるか、アイデアと手間ひまをかけて付加価値を高めるビジネスを考えるか--みなさんもぜひ、様々な局面で2つの視点からビジネスプランを考えてみてください。

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