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2015年05月01日

資生堂が化粧品販売員を正社員に あなたの志望業界は?

化粧品・生活用品

資生堂の販売員、11年ぶり正規採用 来春から(2015年4月28日朝刊)

 資生堂は店頭で化粧品の販売を担う「ビューティーコンサルタント(BC)」の正社員採用を、2016年4月から11年ぶりに復活させる。現在約2千人いる契約社員にも正社員登用試験を受けてもらい、合格者から順次正社員にする。BCの意欲を引き出し、販売力を強化するのがねらい。

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 きょう5月1日は「メーデー」です。「なにそれ! 祝日なの!」と思う人もいるかもしれませんが、休みではありません。「労働者の祭典」ともいわれ、労働組合が団結を示すために各地で集会やデモ行進をする日なのです。最近は5月1日前後の休日にイベントをすることが多く、日本最大の労働組合組織である「連合」は、今年は4月29日に東京・代々木公園で中央大会を開きました。労働組合については4月17日の「一色清の今日の朝刊ウィークエンド」でも取り上げていますので、ぜひご覧ください。

 連合が近年重視しているのが非正社員の処遇改善です。いまや、非正社員の割合は労働者全体の4割近くに。非正社員の待遇をよくすることで、格差是正につなげるべきだと連合は主張しています。
 非正社員には多くの場合、正社員には当たり前の多くの権利が認められていません。終身雇用も保障されておらず、定期的に給料があがっていく仕組み(定昇)も取り入れられていないことがほとんど。結婚や出産で従来通りの仕事が難しくなっても産休や育休をとることは非常に困難だったり、企業年金がなかったり、そもそも出世したくてもできなかったり、正社員との格差はあらゆるところで見られます。

 格差是正のひとつの方策が、非正社員の正社員化でしょう。企業がコストをかけてでも非正社員を正社員にするメリットのひとつは、優秀な社員を会社につなぎとめて今まで以上に働いてもらう、ということです。冒頭の記事では、資生堂の正社員が年200~300人規模で退職し、ベテランの知識や技術を若い世代に継承する必要に迫られていたとあります。毎年人が入れ替わり、そのたびに一から教育しなおさなければいけないコストを考えたら、正社員として採用、雇用して会社にずっといてもらったほうがずっとありがたい、という判断が働いたのでしょう。トヨタ自動車は2015年度の採用計画として期間従業員からの正社員登用枠を前年度の3倍近い300人に増やし、オリエンタルランドも契約社員約800人を2016年4月付けで希望者は全員正社員に登用すると発表しました。スーパーや百貨店などの小売り各社にも、人手不足を背景に非正社員の待遇をアップし、正社員登用の道を開く会社が出てきています。

 正社員は一度雇用すると簡単に解雇することができないなど、今の制度では会社側に様々なコストがかかります。正社員と非正社員の格差を是正するためには、正社員に対する過剰な保護政策を改めて解雇しやすくするべき、という議論もあります。みなさんが社会の中心で働くころには、日本の労働市場も大きく様変わりしているでしょう。自分の志望する会社の労働環境はどうなっているのか、正社員と非正社員にはどれくらい待遇差があるのか、ゴールデンウィーク中に一度調べてみると面白いかもしれません。

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