結婚・子育てへ信託商品 非課税新枠、各行が力(2015年4月22日朝刊)
「結婚・子育て支援信託」の取り扱いが、信託銀行各行で4月から始まっている。申し込みが相次いだ教育資金の贈与信託のように、若い世代に客層を広げていきたいと、各行は新商品の販売に力を入れる。
子どもや孫が結婚や子育てをする費用を、祖父母や親から贈与税がかからずに受け取れるもので、2015年度の税制改正を受けてつくった。
「結婚・子育て支援信託」の取り扱いが、信託銀行各行で4月から始まっている。申し込みが相次いだ教育資金の贈与信託のように、若い世代に客層を広げていきたいと、各行は新商品の販売に力を入れる。
子どもや孫が結婚や子育てをする費用を、祖父母や親から贈与税がかからずに受け取れるもので、2015年度の税制改正を受けてつくった。
信託銀行って知っていますか? 金融業界志望の人はもちろん研究していると思いますが、いまいち銀行との違いがわからない人も多いのではないでしょうか。
信託銀行の業界団体である「信託協会」のHPには、信託銀行は「銀行業務と信託業務の両方を営んでいる銀行」とあります。「信託」とは、財産の管理、処分を他人に任せること。簡単に言えば、人の財産を「信託」してもらいそれをうまく運用して増やしたり管理したりするのが信託業務。お金はもちろん、株などの有価証券、動産、不動産などの信託も受けるほか、それらに付随する形で不動産売買の仲介業務や株式名簿の管理などの証券代行業務、また遺言をあずかり、それを執行するといった相続関連業務も仕事に含みます。日本では3大メガバンクの系列にあたる三井住友信託、三菱UFJ信託、みずほ信託、そしてりそな銀行が大手です。
いずれにしても財産を結構持っている人でなければあまり縁のない会社、のようなのですが、その風向きが変わったのが近年の税制改正です。
政府はいま、高齢者からみなさん現役世代に資金を流して内需を広げようという政策をとっています。2015年からの税制改正で遺産に課税される最低ラインが6000万円から3600万円に大きく下がり、みなさんのご両親でも土地建物を持っている場合は相続税課税対象になる可能性がぐっと高まりました。一方、2015年4月~2019年3月までの間に父母や祖父母から結婚の披露宴費用や新居の費用、子どもの出産費用や医療費、不妊治療費などの「結婚・子育て資金」をもらった場合、1000万円までは贈与税がかからず非課税になるという仕組みもできました。世代的にはまさにみなさんに関係のありそうな話ですね。記事に紹介されている商品は、この制度にあわせて作られたもの。贈与税を非課税にするためにはいろいろ書類を作ったり出したりする手間がかかりますが、この商品を利用すれば信託銀行が手続きを代行してくれるほか、配当金を得られる可能性もあるということです。こう聞くと、信託銀行という存在がすこし身近に感じられませんか。
信託銀行は先に述べたように、不動産を扱ったり遺言を扱ったり株主総会の手伝いをしたりとお金と財産にまつわる幅広い業務を扱っています。金融業界以外を志望しているみなさんも、仕事が始まると信託銀行と接する機会も増えるかもしれません。また、今後の自分のライフプランや財産設計を考える上でも、信託銀行という存在についてもっと調べてみると面白いかもしれませんよ。
また、信託銀行員は幅広い金融商品を扱うことから広い知識や専門性が求められ、三菱UFJ信託銀行の採用担当者は「入社後も勉強し続ける気持ちのある人がいい」と語っていました(同社採用担当者の「人事のホンネ」もぜひ読んでください)。金融業界を志望する方はぜひこれを念頭において業界研究してみてください。
2024/10/11 更新
※就活割に申し込むと、月額2000円(通常3800円)で朝日新聞デジタルが読めます。
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