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2015年04月14日

電気代の明細からエネルギー事情がわかる?

エネルギー

再生エネ表示で対立 経産省、強調広告は禁止

 経済産業省は、2016年4月から家庭でも電力会社を自由に選べるようになるのにあわせ、再生可能エネルギーのメリットを強調する広告などを禁止する方針だ。経産省が広告などを制限するのは、「固定価格買い取り制度」(FIT)の対象になっている太陽光や風力などで発電した電気。これらの販売会社が「うちはグリーン電力です」などといった広告や宣伝をすることを禁止する考えで、近くガイドライン作りを始める。(2015年4月7日朝日新聞朝刊)

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 新学期になりました。一人暮らしをしている方も多いと思いますが、光熱費などの管理はちゃんとしていますか? 実家暮らしの方もまもなく社会人になるのですから、1カ月の水道代や電気代、ガス代がおおよそどれくらいになり、どうすれば節約できるのか、そろそろ意識してみるといいでしょう。大人になってから苦労しますよ……(体験談)。

 電気代の明細をじっくり見てみると、いろいろ興味深い項目があることに気づきます。東京電力の「『電気使用量のお知らせ』の見方」を見てみましょう(下記リンク参照)。請求予定金額の内訳を見ると、使用量ごとに3段階で変わる基本料金に加え、「燃料費調整」や「再エネ発電賦課金」という項目があることに気づきます。燃料費調整とは1996年に導入された制度で、火力発電の燃料である原油、液化天然ガス(LNG)、石炭の価格変動を電気料金に反映させる仕組みです。ここをチェックしていけば、化石燃料の相場が変動するニュースにも自然と敏感になってくるのではないでしょうか。

 その下の「再エネ発電賦課金」とは、2012年に始まった「再生可能エネルギー」の固定価格買い取り制度にもとづいて課せられる料金です。太陽光や風力などの再生エネで発電した電気を一定の利益が出るような額で発電業者から買い取り、再生可能エネルギーの量を大きく増やすのが目的。ちなみに今年5月から、料金が1キロワットあたり0.75円から1.58円へと大幅に値上げされます。

 賦課金は電力を使うすべての利用者が負担します。そうしてまかなわれた再生エネルギーを使い、特定の事業者がもうけるのは不公平だ――というのが冒頭の記事における経産省の主張。消費者団体の全国組織・全国消費者団体連絡会は「再生エネで作った電気を利用者が選べなくなる可能性がある」などとして、加工食品の原材料表示のように電源構成の表示を義務づけるべきだと訴えていますが、これに関しても経産省は消極的のようです。皆さんは、どう考えますか?

 2016年4月の電力自由化にあわせ、官からも民からも様々な動きが出ています。電力やインフラ業界に興味がない方でも、エネルギー問題について面接やグループディスカッションで問われるケースもあるでしょう。月々の電気代の明細から、日本をとりまくエネルギー事情に思いを馳せてみましょう。

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