頼りは訪日客・海外子会社 経常黒字最少 伸びぬ輸出 (2月10日朝日新聞朝刊)
財務省が9日発表した2014年の国際収支の速報で、日本と海外のお金の出入りを示す「経常収支」は過去最少となる2兆6226億円の黒字だった。日本経済の「稼ぎ頭」だった輸出が伸び悩み輸入が輸出を上回る「貿易赤字」が過去最大の10兆3637億円となった一方で、日本を訪れる外国人旅行者の消費や日本企業の海外でのもうけが経常収支を押し上げるなど、日本の稼ぎ方は大きく変わっている。
財務省が9日発表した2014年の国際収支の速報で、日本と海外のお金の出入りを示す「経常収支」は過去最少となる2兆6226億円の黒字だった。日本経済の「稼ぎ頭」だった輸出が伸び悩み輸入が輸出を上回る「貿易赤字」が過去最大の10兆3637億円となった一方で、日本を訪れる外国人旅行者の消費や日本企業の海外でのもうけが経常収支を押し上げるなど、日本の稼ぎ方は大きく変わっている。
2014年の貿易収支は、10兆円以上の赤字となりました。つまり昨年は、日本からの輸出よりも輸入のほうが10兆円も多かったわけです。
これは日本経済の特徴的な変化ですから、大いに注目すべきです。でも、そこでは一つの注意が肝心。世の中にはあたかも、
「貿易黒字は良いこと」
「貿易赤字は悪いこと」
というようなイメージがあります。しかし、これは基本的に誤解ですから、気をつけましょう。べつに、貿易黒字が単純に良いことでもないし、貿易赤字が単純に悪いことでもありません。
この点について、ベストセラー『高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学』の著者・菅原晃さんは、次のような例を挙げて分かりやすく説明しています。
「不況によっても、貿易黒字は増える。不況だから国内で消費されない分を、海外に買ってもらうからだ」
つまり、もし日本国内の景気がとても良くなって、国内で生産した分がすべて国内だけで消費されてしまえば、貿易黒字は発生しないわけです。この例を考えるだけでも、単純に「貿易黒字=良」「貿易赤字=悪」なんて言えないことは明白ですよね。
要するに、大切なのはその中身です。ではいま、日本経済にはどんなことが起きているでしょうか。見ていきましょう。今回の記事はこう伝えています。
「旅行収支が黒字になりそうだ」
旅行収支とは「貿易外収支」の1項目で、海外旅行者の消費の収支です。海外から日本へ来た旅行者の消費と、日本からの海外旅行者による海外での消費を、差し引きした金額です。つまりいまの日本では、外国人旅行者が日本の国内で買い物をする金額が、とても大きくなっているのです。まさに注目すべき変化ですね。
今回の記事では、三越銀座店の免税品の売上げが昨年10月以降、前年の3倍にも増えていることなどを伝えています。昨年の海外からの旅行者は、前年より3割も増えて1341万人に。ホテルや運輸への貢献も大きく、旅行会社のJTBなどが外国人旅行者向けの商品を充実させています。
日本の観光業がますます力をつけ、海外からの大切なお客様のニーズに応えることが期待されますね。
2024/11/23 更新
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