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2015年02月06日

営業黒字の見込み、ソニーの強みは反「選択と集中」?

家電・総合電機

ソニー営業損益 200億円の黒字に (2月5日朝日新聞朝刊)

 ソニーは4日、2015年3月期の本業のもうけや損失(営業損益)が、200億円前後の黒字になるとの予想を発表した。これまでは400億円の赤字になるとしていた。人件費などが減り、多くの事業の業績が改善した。

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 企業経営における金言に、「選択と集中」があります。事業を進めるときは、得意分野をはっきりさせ、そこに人材や資金を集中させるべきだ、という考え方です。
 しかしこの言葉も、ソニーという極めてユニークな会社に対してはあまり当てはまりそうにありません。むしろ「色々なことをする」という逆の方法が、ソニーの強みのようにさえ見えます。

 ソニーが取り組んでいる事業は、テレビなどの家電製品だけでなく、「音楽」「映画」「金融」「電子部品」など、多岐にわたります。ぜひ、これらの事業別の業績推移をチェックしてみてください。すると、
「ゲームが不調なときは、映画ががんばっている」
「電子部品が苦戦しているときは、金融で稼いでいる」

 ……などなど、変化に富んだ歩みが確認できるでしょう。たとえある時期、Aという事業が調子を崩しても、別のBという事業がうまく支えている。それがソニーです。
 さて、そんなソニーの3月決算予想が発表されました。これまでは営業赤字になるという見通しを示していたのですが、黒字決算になりそうだとのこと。かつての稼ぎ頭だった電気部門は長らく不振が続き、変わって主力商品となった携帯電話機も低価格を武器とする中国メーカーなどの攻勢でいまは不調。それでも、ほかの事業が頑張ってカバーをしているわけです。

 ところでソニーはこの前日、別の興味深い新製品を発表しているのですが、残念ながら朝日新聞では紙面が狭かったためか、掲載されませんでした。
「ソニーが美容機器ビジネスに乗り出す」
 ソニーにとっては新分野への進出なのですが、見方を変えれば「得意分野の応用」でもあります。ソニーが売り出す美容機器とは、肌の状態を手軽に調べられる測定器。手のひらサイズで、使いやすそうです。こんな製品を開発できるのは、ソニーの宝物とも呼べる「CMOSイメージセンサー」という電子部品の強みがあるからこそ。スマホやデジカメに搭載されている好感度の画像処理素子で、ソニーはこの生産で世界シェアの4割を占める堂々のトップ企業なのです。

 さらにその前日にも、また別のニュースがありました。ずばり、このCMOSイメージセンサーを増産する、という内容です。長崎県や熊本県の工場設備を増強するとしています。
 得意分野をさらに伸ばしながら、事業の幅も広げる。積極的ですね。

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