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2015年01月06日

技術革新は格差を助長する? 仕組みを考えよう

機械・プラントエンジニアリング

人手不足 ロボがアシスト (1月5日朝日新聞朝刊)

 人手不足が進んでいる職場で、体につけて重い荷物を楽に持ち上げられるアシストロボットが使われ始めた。ロボをつくる企業は手軽さを売りに、物流や建設、農業で商機が広がるとみている。

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 2015年が明けました。今年の景気や業界はどのような動きを見せていくでしょうか。

 激変をつづける世界の経済。その動向を鋭く分析した専門書としていま最大の話題となっているのが、フランスの経済学者トマ・ピケティの著書『21世紀の資本』でしょう。日本でも昨年末、翻訳が刊行されました。まもなくピケティの来日講演も開かれるなど、今後ますます関心が高まりそうです。

 ピケティが注目されているのは、世界各国の膨大な経済データを収集し、資本主義が必然的に「格差社会」を生み出す法則性を持っていることを見事に描き出したからでしょう。なぜ現代の資本主義にとって格差が必然的となるのか、ピケティがその理由としてもっとも重視しているのは「経済のグローバル化」です。

 国境を超えた世界経済の展開が進めば、ひとつの国内で所得税や法人税を徴収するようなシステムは、もはや機能しなくなります。企業や金持ちはさまざまな手段を使って税を回避し、冨の蓄積はますます進みます。「カネがカネを生む」というグローバリズムの特徴を、ピケティは具体的なデータを大量に整理し分析して見せました。

 格差を生むほかの要因はないのでしょうか。国際通貨基金(IMF)は格差社会の主な原因としてグローバル化と並んで「技術革新」を挙げていますが、ピケティはそれほど重視してはいないようです。経済学者の池田信夫さんらも、こうした点について批判的に解説しています。

 技術革新が格差を拡大するメカニズムについて、池田さんは近著でこう説明します。

「今まで高い賃金をもらっていたホワイトカラーの事務労働がコンピュータに代替され、パートや契約社員でもできるようになりました。この結果、コンピュータの技術を開発するソフトウェア技術者などの賃金が上がる一方、単純労働者の賃金が下がったのです」

 こうした新しい技術が人の労働に与える影響については、もっと注目すべきでしょう。もちろん新しい技術は、人の仕事を奪うばかりではありません。人の仕事を助け、さらに生産性を高める側面も大きくあります。

 今回の記事が取り上げているのは、まさにこの「人を助ける」新技術です。パナソニックや三井物産などが登場します。人間の労働と技術革新の関係について考えるきっかけになる重要な記事でしょう。

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