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2014年12月12日

食品卸大手の国分、丸紅と資本・業務提携へ

商社

丸紅、食品卸大手と提携 (12月6日朝日新聞朝刊)

 丸紅は12月5日、食品卸大手の国分と資本・業務提携すると発表した。原材料価格の高止まりで経営環境が厳しくなるなか、商品の仕入れや物流などで効率化を図る考えで、来年6月をめどに互いの事業子会社に出資する。

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 商社には、三井物産や三菱商事など扱う商品が「ラーメンからミサイルまで」などと言い習わされる「総合商社」のほかに、繊維や鉄鋼、化学というように特定分野に特化した「専門商社」があります。

 この専門商社の中でも、食品はもっとも業界再編の動きが激しい分野です。2012年には三菱系の食品卸4社が統合して三菱食品が誕生し、食品卸として初めて売上げ2兆円を突破しました。翌2013年には、旭食品など地方の中堅3社が経営を統合。旧雪印系の日本アクセスも2006年に伊藤忠商事が親会社となり、その後は統合を重ねて規模拡大を続けてきました。

 背景にあるのは、経営環境の悪化です。スーパーやコンビニが独自のプライベートブランド(PB)商品を拡大し、卸会社を経由しない取引を拡大しています。少子化を背景とした市場の縮小や、円安による原材料費や輸送コストの増大など、利益を圧縮する要因が重なっています。

 今回の記事に登場する国分は、大手商社系列に属さない「独立系」として知られました。創業は1712年。実に300年の長きに渡って孤高の立場を守ってきましたが、2009年からは連続して減益決算となり、ついに決断の時を迎えたわけです。

 国分は今回の丸紅との提携を、次のように位置づけています。

「垣根を超えた競争が厳しさを増し、合従連衡による再編も活発化している。営業基盤の強化・拡充を図り、新たな価値を提供するため、提携に向けた検討で合意した」

 国分の2013年の決算を見ると、1兆5667億円の売上高に対して、営業利益は67億円。営業利益率はわずか0.4%です。そしてこれは同社に限ったことでなく、食品卸の業界は全体として収益性が低いのが特徴です。提携によって無駄なコストを徹底的にそぎ落とす。これが国分の狙いです。

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