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2014年12月16日

CO2排出量が断トツに多い業界は? 企業とCO2削減の関係性考えよう

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温暖化目標 薄氷の合意(12月15日朝日新聞朝刊)

 ペルーで開かれていた国連気候変動枠組み条約の締約国会議(COP20)は、各国が提出する2020年以降の温暖化対策の目標に盛り込む項目などに合意し、12月14日に閉幕した。

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 12月1日からペルーで開かれていた地球温暖化対策を話し合う国際会議が、14日閉幕しました。もし地球温暖化が人類にとって悪影響のほうが大きくて、その原因が二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスにあるならば、CO₂削減は重要な課題です。

 そこでこの機会に、産業とCO₂の関係について考えてみましょう。企業などが排出するCO₂をどのように削減すべきか、という問題です。

 このテーマをめぐっては、数年前から注目されてきた一つの考え方があります。「セクトラルアプローチ」と呼ばれる方法論です。「セクター別アプローチ」などとも言われ、日本はその中心的な提唱国です。

 セクター別アプローチとは、「産業」「運輸」「家庭」などの部門ごとにCO₂などの排出量をはじき出し、削減に取り組んでいこうという考え方です。産業部門ならばさらに、業界ごとの排出量や削減目標が検討されます。

 CO₂の排出量が多い業界とは、どこでしょうか。環境省がまとめています。最新の2012年の年間の数値は、次の通りです。
 鉄鋼 14万9983トン
 化学 5万96トン
 パルプ・紙 2万950トン
 食品加工・飲料 8236トン
 非鉄金属 1889トン

 データを見てもわかるように、製造業の中で断トツの「CO₂排出業界」は鉄鋼業界です。鉄鉱石から還元反応を利用して鉄を取り出すときに膨大なCO₂が出るため、現在の技術ではどうしてもCO₂排出量が多くなりがちです。

 業界や各企業は、この問題をどう考えているでしょうか。ぜひ自分でチェックしてみましょう。新日鉄住金やJFEなど大手企業は、ホームページの「CSR活動」の紹介コーナーで、取り組みを詳しく説明しています。新日鉄住金は1990~2012年にかけてCO₂排出量マイナス9%の目標を掲げ、実際にマイナス11.2%のCO₂排出削減を達成したそうです。

 セクトラルアプローチについては、「業界別の取り組みでは効率が悪く、削減コストが高くなる」などの短所も指摘されています。CO₂の排出削減は、人類が直面しているもっとも困難な課題の一つ。問題点を整理するようにしましょう。

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