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2013年08月30日

日本郵政の巨大ネットワーク

銀行・証券・保険

日本郵政、四半期決算堅調 (8月28日朝日新聞朝刊)

 日本郵政は27日、2013年4~6月期の連結決算を発表した。傘下のゆうちょ銀行などが堅調で、売上高は3兆7720億円、純利益は1619億円だった。

【目のつけどころ】 現実こそドラマティック

 このところ、いろいろ注目される日本郵政です。この記事の前日には、
「日本郵便、高齢者見守り事業」
 という別の記事があり、朝日学情ナビ「就活ニュースペーパー」のコーナーでも木之本編集長が取り上げました。
 そんな日本郵政の、最近一番のニュースは、7月26日に発表されたアフラックとの提携発表でした。前日の7月25日朝刊から、
「郵政、米がん保険拡充へ」
 と事前に報じられ、正式発表の後には関連記事が次々と。

 しかしなぜ、これが大ニュースになるのでしょうか。理由の一つは、日本のTPP参加をめぐる日米の交渉で、米国側から、
「残された懸案事項」
 と名指しされているのが、この「保険」分野そのものだったからです。とりわけ日本郵政グループのかんぽ生命保険は、全国に郵便局の巨大ネットワークを持ち、競争では圧倒的優位の立場にいます。米国はこの日本郵政が、がん保険を売り出すのではないかと警戒し、「事業拡大すべきでない」と強く牽制していました。

 ところが現実はどうなったのか。アフラックとの提携という大逆転劇です。
 日本のがん保険は長年、米国が圧倒的に強く、とりわけアフラックは市場の75%を握っていました。だからこそ、この牙城が崩れることに強い危機感を抱いていたのですが、いざ実際に起きたことは、そのライバル同士の「握手」だったわけです。
 今度は驚いたのが日本のほかの民間保険会社です。業界最大手の日本生命は、
「今日の話は遺憾」
 と、怒りのコメントを発表しました。

 どうですか? こうして見ると、ここ数日のニュースの「高齢者見守り事業」も「決算堅調」も、日本郵政が持っている巨大ネットワークが背景にある点で、つながっているとわかるでしょう。そして、このつながりを理解していれば、毎日の新聞をますますドラマティックに読むことができるのです。

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