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2013年08月28日

シャープ救済で注目のEMS企業とは

精密機器・電子機器

シャープ、信用回復正念場 (8月21日朝日新聞朝刊)

 経営再建中のシャープに対し、電動工具メーカーのマキタ(愛知県安城市)が出資する方針を固めた。自動車部品大手のデンソー(同県刈谷市)も数十億円の増資引き受けを検討中だ。

【目のつけどころ】 発注元を助ける「巨大な下請け」

 業績が悪化しているシャープについて、経営再建の現状と見通しをまとめた記事です。業界研究をする際に、こうしたスタイルの記事はとても便利。シャープに出資したり今後の協業を検討したりしている企業名が、ずらりと出てきますから必読です。

 記事では、液晶工場を共同運営している台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業や、100億円超を出資している韓国のサムスン電子と米国のクアルコム、またシャープ側が助けを求めた日本企業であるデンソーやLIXILなどとの関係が、まとめられています。

 そこで今回は、このうち鴻海精密工業に注目してみます。シャープ再建のカギを握るとされる巨大メーカーですが、どんな会社か知っていますか? 急成長するEMS業界における世界最大の企業ですが、ではEMSって何? この機会に整理しましょう。
 EMSとは「電子機器の受託製造サービス」のこと。つまり、平たく言えば「下請け会社」です。発注元の企業からの設計図にしたがって部品や製品を生産する会社で、こうした業務形態のことをOEMと呼びます。日本語では「相手先ブランド製造」などと訳されます。(ちなみに、設計段階から手がけるという形態もあり、その場合はODMです)

 鴻海が何よりも有名なのは、アップルのiPhoneをOEM供給している点でしょう。いまやアップルの「ものづくり」は、鴻海なしには語れません。なにしろ鴻海の従業員数は96万人で、これは世界中のあらゆる企業の従業員数ランキングで堂々の5位。売上高は1320億ドルで、EMS企業としては2位のフレクストロニクス(シンガポール)と比べて、6倍近くも巨額です。この途方もないような規模が、アップル製品の大量供給を支えているわけです。

 その鴻海が、いったんは670億円をシャープに出資して再建を助ける方向となっていましたが、後に白紙となりました。シャープは「今後も協議を続ける」としていますが、どうなることでしょうか。「下請けが発注元を助ける」という意外な構図に、注目が集まっています。

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