業界研究ニュース

2017年01月13日

東芝子会社が有機ELテレビに参入 吉と出るか?

家電・総合電機

4K対応有機ELテレビ、3月上旬に国内発売

 東芝の子会社、東芝映像ソリューションが、有機ELテレビ「レグザX910」シリーズを3月上旬に国内で発売します。フルハイビジョンの4倍の画素数をもつ4Kの高精細画像にも対応します。日本での有機ELテレビは韓国のLGグループが先行していますが、今年は国内勢の参入が相次ぎそうです。
(2017年1月11日朝日新聞デジタル)

より薄く、軽く、美しく…

 有機ELテレビとは、電圧をかけると発光する(Electro Luminescence:電界発光)性質をもった有機物質をディスプレーの材料に使ったテレビのことです。有機ELのディスプレーは、それ自体が光るので、従来の液晶やプラズマのディスプレーにあったバックライトや蛍光体がいりません。その分テレビをより薄型・軽量にでき、画像もコントラストがくっきりしシャープになります。スマートフォンの画面にも使われています。

撤退した日本勢が再び、なぜ?

 有機ELテレビは、実はソニーが2007年に世界に先駆けて商品化しましたが、2010年に撤退。パナソニックも量産計画を先延ばしにしてきました。普及しなかった理由は、コスト高で価格が高かったことです。日本勢撤退のあとはLGを筆頭とする韓国勢の独占状態でした。今回の東芝レクザ「X910」シリーズの想定価格(税別)は65型が90万円前後、55型で70万円前後。現行のLGグループの製品に比べてまだ高額ですが、65型で100万円を切り、国内富裕層の買い替え需要をねらえると踏んだのでしょう。

賭けに出た? 東芝子会社

 東芝といえば不正経理事件でリストラを続けていて、家電部門の子会社の株式の大半を中国企業に売却しましたが、映像部門は東芝映像ソリューションとして国内に温存しました。その子会社が今回の有機ELテレビの新商品で打って出ようというわけです。ディスプレーはLGから購入する有機ELパネルを購入し、東芝独自の画像処理エンジンやAI(人工知能)を使って「高いコントラストで自然な階層表現を実現させた」そうです。

ディスプレー生産増で価格が下がる?

 有機ELについては、最近、韓国勢がスマートフォンやテレビでの採用拡大に伴って生産を増強、日本勢でも出光興産が韓国企業と提携し生産を拡大して中国に売り込みを図ったり、住友化成も増産を計画するなど、素材メーカーの動きが活発になっています。シャープも有機ELディスプレーの開発・生産に2000億円の巨額投資を計画しているそうです(「有機EL、再び脚光 韓国勢、スマホやテレビで採用拡大」2017年5月10日朝日新聞デジタル)
 ディスプレーの生産が増えれば、それだけ価格も下がってきます。そうすれば高嶺(たかね)の花だった有機ELテレビに値ごろ感が出てきます。
 有機ELテレビから撤退したソニーは、年内に再参入することを決め、4日米ラスベガスの家電市CESで平井一夫社長が新商品を発表しました(写真)(「ソニー、有機ELテレビ再参入」2017年1月6日朝日デジタル)。発売時期・価格など詳細は未定ですが、有機ELパネルは東芝と同様に他企業から調達するとのことです。

 部品と最終製品の需給関係で新たな商機が生まれる――こういうBtoB(企業間取引)とBtoC(消費者向け)のビジネスの関係にも注目です。

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