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2013年12月06日

ヤマハ発動機の「電動アシスト自転車」新モデル

自動車・輸送用機器

充電短い電動アシスト車 (11月30日朝日新聞朝刊)

 ヤマハ発動機は、電動アシスト自転車「PAS(パス)」の4機種の2014年モデルを12月25日から順次発売する。全機種で急速充電器を採用し、8.7Ah(アンペア時)リチウムイオンバッテリーで充電時間をこれまでの4.5時間から2.5時間に短縮した。

【目のつけどころ】 運転免許がいらない理由

 電動アシスト自転車とは、何でしょうか。単なる「電動自転車」ではなく、「アシスト」という1語が差し込まれているところがポイントです。つまり原動機付自転車(いわゆる原付バイク)やオートバイ、電動スクーターのように、運転免許が必要とされないのは、これがまさに自転車であるからなのですが、ではその境界はどこにあるのでしょうか。
 
 実は、法律でしっかりと決まっています。電動アシスト自転車とは何かということが、「アシストの範囲」として定義されているのです。道路交通法施行規則によればこうです。
・時速10kmまで 人力が「1」に対して、電力補助は「2」まで
・時速10~24km 電力補助の比率を「2」→「0」へ徐々に減らす
・時速24km以上 電力補助の比率は「0」(つまり補助なし)
 これが「アシスト」の意味であり、中身なのですね。

 ちなみにこの補助比率は、当初は「1」でした。電動アシスト自転車が登場した時点では、人と電気の力の比率は「1:1」だったのです。「人力と電力が対等でなければ、アシストとは言えないだろう」。そんな趣旨が読みとれる気もします。
 この補助率は2008年、現在の「1:2」へ引き上げられました。さらに最近は「1:3」へ増やすことも検討されているようです。

 電動アシスト自転車を最初に製品化したのは、この記事にあるヤマハ発動機でした。当時の開発記録などを読むと、いかにしてこれを「自転車」として認めてもらうかについて、規制当局との交渉に苦労したことがうかがえます。新製品が世の中に登場する背後には、大変な努力があるのですね。

 ところで国内の原付バイクやオートバイの市場は、長期の縮小がつづいています。1980年代までは200万台以上あった出荷台数は、2000年代後半からは50万台以下へ落ち込んでいます。若者のオートバイ離れなどが背景にあるようです。
 こうした中、好調だったのが電動アシスト自転車でした。しかし残念ながら、最近は減少に転じています。今回のニュースからは、電動アシスト自転車の機能を高め、より便利にすることで市場を取り返そうという熱意が感じられますね。

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