ビール類、縮む市場(11月14日朝日新聞朝刊)
国内のビール類の市場が、9年連続で前年割れする見通しだ。若者の「ビール離れ」などを背景に、チューハイなどアルコール度数の低いお酒にシェアを奪われた。お歳暮シーズンを迎えて、各社は高級ビールなどに力を入れ巻き返しを図る。
国内のビール類の市場が、9年連続で前年割れする見通しだ。若者の「ビール離れ」などを背景に、チューハイなどアルコール度数の低いお酒にシェアを奪われた。お歳暮シーズンを迎えて、各社は高級ビールなどに力を入れ巻き返しを図る。
テレビ番組などを見ていると、ビール会社のコマーシャルが大量に流れるので、業界は絶好調という印象があるかも知れません。しかし現実は逆で、ビール市場は縮小が続いています。伸び悩むがゆえに、懸命に宣伝をしている、とも言えます。
この記事によれば、今年度の出荷量も前年を下回ってしまう見通しで、これで前年割れは9年連続。背景にあるのは、いわゆる好みの多様化で、「缶入りのチューハイやカクテルなどを好む若者が増えている」と記事は伝えています。
こうした中で、安さが支持されて成長分野だったのが「第3のビール」でした。小麦を原料とするビールや発泡酒と違い、大豆やエンドウ豆、サトウキビなどを用いてビール風味を持たせた飲料のことです。ビールではないので「第3のビール」という表現はやや矛盾するのですが、すでに定着した呼び名になりました。
しかし、この第3のビールも最近は成長が鈍化しています。各社は新商品の開発や、新たな販路拡大に懸命です。
アサヒビールではジュースを混ぜたビアカクテルを展開し、キリンビールは冷たい泡がビールの上に乗る「一番搾りフローズン」を投入しています。また、海外に活路を見出そうと、中国やフィリピン、ブラジルなどへ積極的に進出を図っています。ほかにも、ノンアルコールビールの拡充や、コンビニなどでのプライベートブランド販売への参入など、さまざまな動きがあります。
ビール大手には、アサヒ、キリン、サッポロ、サントリーの4社があります。それぞれの会社が、どんな戦略や製品を展開しているか、整理してみましょう。
第3のビールを含めない場合の出荷量のピークは1994年で、以降は減少が続いています。第3のビールが登場した2004年はわずかに前年より出荷量が伸びましたが、それ以外はすべて前年割れでした。ですからピークを94年と見るならば、ビール市場の縮小はついに20年連続となります。
2024/11/21 更新
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