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2013年09月20日

「石油コンビナート」の集約化

エネルギー

国内製油所の集約化支援 (9月18日朝日新聞朝刊)

 経済産業省は、規模が小さく生産効率が低い国内の石油コンビナートの集約化を促すため、来年度から、複数の製油所のあいだで設備を共用することで不要になった設備の廃棄費用の半分を補助する。

【目のつけどころ】 集約化支援の狙いは何か?

 石油コンビナートとは、一般的には「石油化学コンビナート」と呼ばれます。コンビナートは、もともとはロシア語。社会主義政策による計画経済をとった旧ソ連で、計画的に配置された工業地域をさした言葉が、コンビナートです。
 したがって石油化学コンビナートは、石油化学に関する工場施設の集合体のこと。具体的には、石油貯蔵施設、石油精製施設、化学工場などが集まった施設群で、エチレンをはじめとする石油製品を生み出します。

 さて今回の記事では、この石油化学コンビナートのうち規模が小さいものについて、国が費用の一部を負担して集約化を図るとしています。その狙いは、大規模施設の建設が相次いでいるアジア各国に対抗していくためだそうです。
 でも、それだけでしょうか。そのほかの理由を考えてみましょう。これは、産業や経済の構造を理解するための「頭のレッスン」になります。たとえば、次のような理由も、背景になっていないでしょうか。
・災害対策
・少子化対策
シェール革命への対策

 それぞれ考えてみましょう。老朽化している施設は、災害時のリスクになります。たとえば東京湾等のコンビナート施設は、高度経済成長期に埋め立てた軟弱な地盤に建設されてるケースが少なくありません。大震災時などには危険性が伴います。
 また、そもそも今後は日本国内の人口が減少し、国内需要が減ることも予想されます。供給過剰設備の対策をどうするかは、効率的で持続可能な社会をつくるために必須の課題です。
 さらには、エネルギー革命への対応も考えられます。シェールガスを利用した新しい技術が、従来の火力発電や化学工業の姿を変えるかも知れません。その対応に遅れると、産業全体のダメージは大きくなりますから、石油化学コンビナートも変革への準備が必要です。

 どうですか。一つの出来事に、さまざまな側面がありそうだという予感がしませんか。もっと調べてみましょう。

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