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2019年05月15日

伸び悩むスポーツ用品業界…日常用、作業着、作業靴が好調

レジャー・アミューズメント

 来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックを前にスポーツ用品業界が沸き立っているかと思えば、実態はそうでもないようです。国内メーカー大手のミズノは2019年3月期決算を発表しましたが、売上高営業利益とも前年度よりマイナスでした。他のスポーツ用品関係の会社も業績は横ばいや小幅上向きのところが多いようです。国内の人口減少でスポーツ人口自体が長期的に減少傾向にあることや用具にお金がかかるゴルフやスキーの人気が落ちていることがマイナス材料になっています。ただ、スポーツ用に開発されたシューズやウエアが日常生活で使われたり、作業着や作業靴という新分野が好調だったりするプラス材料もあります。国内にある従来型のスポーツだけに目を向けていれば将来性に疑問符がつく業界ですが、世界に市場を広げ、新しいスポーツや、スポーツ以外の場で使われるスポーツ用品的なものに目をつければ、可能性は広がります。スポーツ好きな人には魅力のある業界ではないでしょうか。

(写真は、国内女子ゴルフツアーの今季開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」=沖縄県南城市の「琉球ゴルフ倶楽部」)

国内はアシックス、世界はナイキ、アディダス

 スポーツ用品メーカーは、国内ではアシックスがトップで、ミズノデサントと続きます。このほか、グローブライドヨネックスゴールドウイン、SSK,ゼットなどが大手メーカーになります。また、世界を見れば、ナイキ(アメリカ)とアディダス(ドイツ)が3位以下を大きく引き離して「2強」を形成しています。プーマ(ドイツ)、アンダーアーマー(アメリカ)、ニューバランス(アメリカ)とともに日本のアシックスが3位争いをしています。また、スポーツ用品販売店としては国内ではゼビオ、アルペン、ヒマラヤが「3強」です。

シューズやアパレルが伸びる

 矢野経済研究所の調べによると、2017年の国内のスポーツ用品市場規模は1兆4685億円で、前年に比べて2.3%増えました。2018年の市場規模はまだ確定していませんが、1兆5000億円余と予測しており、3%ほどの伸びとなる見込みです。ゴルフ用品やスキー・スノーボード用品は長期的に低迷しており、ここにきても横ばいの状況です。しかし、分野別ではスポーツシューズ、サイクルスポーツ、卓球、フィットネスなどの関連用品が伸びています。矢野経済研は「特に最近はスポーツシューズやスポーツアパレルが伸びている」といい、理由として「日常的に着用するという消費者需要が拡大したため」としています。

(写真は、初滑りを楽しむスキー客=山梨県鳴沢村の「ふじてんスノーリゾート」)

アルペンは希望退職

 ゴルフやスキーはバブル時代前後をピークに多くの人が楽しみました。特に若者のプレーヤーが増えました。しかし、平成を通じて楽しむ人は徐々に減ってきました。日本生産性本部レジャー白書によると、ゴルフ人口のピークは1993年の1370万人でしたが、2017年には670万人に減っています。しかも、2017年のプレーヤーは60代以上が2割以上を占めています。若者がゴルフをしないため、ゴルフ人口の高齢化が進んでいるようです。スキー・スノーボードも似たような傾向を示しています。こうしたゴルフ、スキー・スノーボード人口の減少はスポーツ用品販売店の経営にも影響を与えています。販売店大手のアルペンはゴルフやスキー・スノーボードに強かったのですが、人気低迷に苦しみ業績が悪化、今期は赤字見通しとなり、社員の希望退職を募集しました。

(写真は、アルペンが運営する「スポーツデポ」=名古屋市)

新方式の開発で盛り上がるか

 こうした伸び悩むスポーツ市場を打開する策の一つが、作業着や作業靴です。ミズノは、スポーツウエアの開発などで培った技術を生かして速乾性などを高めた製品を開発しました。猛暑でも快適に過ごせると引っ越し業者や工事業者からの引き合いが多く、この分野の売り上げが大きく増えました。アシックスやプーマなども作業着や作業靴に力を入れており、スポーツ用品店ではなく、ホームセンターなどに並んでいます。スポーツのために開発した技術は日常生活でも使えるはずで、通勤用の靴やアパレルなどにも可能性は広がります。人口は減っても、健康志向の高まりや余暇時間の拡大などでスポーツに親しむ環境は高まっていくはずです。世界全体を見ればまだ人口は増えつづけています。開拓できる市場や製品はまだまだあります。スポーツが好きでアイデア豊富な人にはやりがいのある職場だと思います。

(写真は、 青山商事とミズノが開発した「アイスタッチドレスシャツ」の半袖=青山商事提供 )

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