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2013年07月05日

企業を税金で救済する是非は

銀行・証券・保険

千葉興業銀行が公的資金完済へ (7月2日朝日新聞朝刊)

 千葉興業銀行は1日、早期健全化法で注入された公的資金約600億円を4日に完済すると発表した。整理回収機構が持つ優先株1715万株を買い取って返す。手元資金にくわえ、今年1月に第三者割当増資で調達した320億円を返済にあてる。

【目のつけどころ】 金融危機、経営悪化、貸し渋り、公的資金

 そもそも何なのでしょう、公的資金って。およそ日常生活で使う用語ではありません。そんなとき、眉に唾をして考えてみましょう。
 そうです、国や自治体のお金のこと。要するに「税金」です。
 もちろんその内訳には、公債(国債や地方債)での調達資金もあれば、公的な年金健康保険の保険料なども含まれます。日本銀行の融資もあるし、かつては「財政投融資」という仕組みもありました。
 
 しかし突き詰めれば、それらは結局は「税金」と同じこと。公債費の償還(つまり支払い)を最終的に負担するのは国民ですし、公的な年金や健保の保険料には支払い義務があるという点で税と同じ性格をもちます。むしろ、
「なぜ素直に、税金と呼ばないのか」
 という視点をもって、問題を深く考えたいところです。
 
 日本が金融危機に直面した1997年以降、経営悪化した銀行に対して、この公的資金が注入されてきました。きちんと返済がされなければ国民負担が生じますし、民間企業である銀行を税金で救済することには批判もあります。
 一方で、銀行がほかの一般的な企業とは異なり、より公共性が高いのも事実。貸し渋りが続いたり、預金が守られないなどの不安が高まったりすれば、日本経済そのものが不安定になり、不利益は国民全体に及びます。
 
 さあ、どう考えますか。銀行の責任や役割とは何でしょうか。漠然とした「公的資金」という言葉によって簡単に納得などせず、しっかりと自分の意見をまとめてみましょう。

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