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2019年03月13日

トヨタが月面探査車開発へ 宇宙ビジネスに関わる会社はここだ!

その他

 トヨタ自動車と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、月面を走行する有人探査車の開発を進めると発表しました。世界の宇宙開発は、月の探査が新たな焦点になっています。JAXAは2029~34年にかけて5回に分けて有人探査をする構想があり、その際月面を移動するクルマを開発する計画です。ロケットや衛星を製造するなどの宇宙産業は、主に官の仕事でした。計画を立てるのも、研究開発するのも、発注するのも官庁が主に担ってきました。しかし、宇宙が本格的なビジネスの時代になり、民間の効率のいい開発力や斬新なアイデアが求められるようになっています。既存の大企業に加えて宇宙ベンチャーと呼ばれる新興企業も活気づいており、トヨタの参入はその活気をさらに勢いづかせることになりそうです。まだ小さな宇宙産業ですが、将来性はとても大きな産業と言えます。

(写真は、有人探査車の開発を進めると発表したトヨタの寺師茂樹副社長〈右〉と若田光一JAXA理事=3月12日)

2030年代には倍の2兆4000億円に

 日本の宇宙産業の規模は、衛星やロケット、地上施設などを製造・運用する宇宙機器産業と、衛星通信・放送などの宇宙インフラを利用する宇宙利用サービスをあわせて約1兆2000億円です。政府は2030年代には倍の2兆4000億円にする目標を掲げており、宇宙産業分野への民間参入を期待しています。世界では、アメリカがぬきんでて規模が大きく、ヨーロッパや中国なども力を入れています。

衛星、ロケット、探査

 日本の宇宙産業の分野は、大きく分けて四つあります。ひとつは人工衛星関連で、三菱電機やNECが強い分野です。二つめはロケット関連で、三菱重工業、IHIエアロスペース、スペースワン(本社・東京)などが製造や打ち上げの中心になっています。三つめは宇宙探査の分野で、今回のトヨタや月面探査機の開発などをしているベンチャー企業のispace(アイスペース・東京)などが目立っています。

新しいビジネスの芽生え

 最後の四つめが旅行などの新しい分野です。宇宙関連のビジネスの種は、出尽くしていません。技術開発や探査が進めば進むほどビジネスの種は増えていきます。現状でも、さまざまなベンチャーが立ち上がり、新しい宇宙ビジネスの商業化に乗り出しています。例えば、PDエアロスペース(愛知県)は宇宙で無重量状態を体験するサービスを開発中です。アストロスケール(シンガポール)は宇宙ごみを取り除く人工衛星を開発しています。そのほかにも、エンターテインメントに活用するため人工流れ星を作る衛星を開発したALE(東京)や空いている衛星通信アンテナをマッチングするサービスを手掛けているインフォステラ(東京)など、たくさんのビジネスが芽生えています。

(写真は、PDエアロスペースの実験機と緒川修治社長)

宇宙への夢と情熱があれば

 宇宙産業は間違いなく成長が見込まれる分野ですが、現時点ではまだ大きな産業ではありません。宇宙産業機器の分野に従事している人は1万人に満たないようです。テレビドラマにもなった池井戸潤氏の小説「下町ロケット」は、ロケットに必要な重要な部品を作っている中小企業が舞台です。宇宙産業には大企業だけでなく、技術力のある中小企業やアイデアのあるベンチャー企業など幅広い企業が参加しています。宇宙への夢と情熱があれば、とてもやりがいのある業界ではないか、と思います。

(写真は、池井戸潤著『下町ロケット』)


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