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2018年01月24日

大塚食品と大塚製薬どう違う?グループ会社の違いを知ろう

食品・飲料

 日本のレトルトカレーの先駆けである「ボンカレー」が発売されて50年になります。地方に行くと、女優の松山容子さんを使った看板を今でも見かけることがあります。同じようなレトロ看板に、俳優の大村崑さんが使われている「オロナミンC」の看板もあります。ともに大塚の名がつく会社の製品なので、同じ会社のものだと思っている人が結構いると思います。同じ大塚グループではありますが、ボンカレーは大塚食品、オロナミンCは大塚製薬の製品です。大塚グループには食品や飲料を作っている会社が何社もあります。分野ごとのすみ分けはせず、自由に競争しているのです。もちろん採用は別々です。きちんと会社研究をしていないと、やりたい仕事はグループの別の会社にあった、なんてことがあり得ます。注意しましょう。

(写真は、15年ぶりに復活する大塚食品の「ボンカレー」。50年前の味を再現しつつ、具は従来よりボリュームアップ=大塚食品提供)

ボンカレーは画期的

 ボンカレーは、当時は画期的な商品でした。日本では初めてと言ってもいい本格的なレトルト食品で、お湯で温めるだけでおいしいカレーが食べられるというのは驚きでした。大塚食品の大ヒット商品になり、ほかの食品会社もレトルトカレーを次々に発売するようになりました。大塚食品は、その後どんぶりの素や、すしの素、冷凍食品など多様な食品を出すとともに、「JAVA TEA」や「MATCH」などの飲料も出しています。商品の宣伝文句として、健康、安全、安心といった言葉を使っていることも特徴です。

(写真は、1969年全国販売当初の「ボンカレー」。賞味期限を延ばすためにアルミパウチ包装が採用された=大塚食品提供)

大塚製薬は飲料、食品で成功

 大塚製薬は、ボンカレー発売の3年前、清涼飲料「オロナミンC」を発売しました。炭酸の入ったドリンク剤は画期的で、こちらも大ヒットしました。大塚製薬は、その後、飲料の「ポカリスエット」「ファイブミニ」「エネルゲン」、食品の「カロリーメイト」「ソイジョイ」「ソイカラ」などを発売しました。製薬会社なのに食品、飲料の会社としても成功を納めてきました。こちらも企業イメージ通り、健康をキーワードにした商品のラインアップが特徴です。

(写真は、栄養ドリンクの定番「オロナミンC」)

すみ分けながら競うスタンス

 大塚製薬も大塚食品も戦前に大塚武三郎氏が徳島につくった大塚製薬工場が元になっています。今は大塚ホールディングスという持ち株会社にぶら下がる兄弟会社です。この持ち株会社のもとには、国内だけでも数十社がぶら下がってグループを形作っています。食品や飲料をつくっているのは、この2社のほかにも大豆飲料「スゴイダイズ」などをつくっている大塚チルド食品や様々な機能性食品をつくっている大塚製薬工場もあります。各社で微妙にすみ分けながらも、かち合うところがあってもそれはかまわないというスタンスのようです。

グループの研究も必要

 世の中に企業グループはたくさんあります。多くのグループでは各会社がそれぞれの分野ですみ分けをしている場合が多いのですが、グループの管理をあまりしないで、それぞれの会社が自由に事業を発展させているグループもあります。その結果、大塚グループのように同じグループで競い合い、それがいい刺激となってともに発展することもあります。一方で、グループ外のライバル会社以上に関係が悪くなる場合もあるようです。グループで競うほうがいいのか、協調するほうがいいのか、多くのグループが抱えている悩ましい問題です。就活生としては、志望する会社の研究をする場合、その会社だけを対象にせず、その会社が属しているグループにどんな会社があり、どういう経緯でグループができたのか、なども研究したほうがいいと思います。

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