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2017年07月21日

コマツがNTTドコモなどと新会社設立、なぜだ?

機械・プラントエンジニアリング

深刻な人手不足をAIで解消

 建設機械最大手のコマツが、AI(人工知能)を活用して建設現場の作業効率を高める新事業を始めると発表しました。そのために、NTTドコモやIT企業2社と共同して10月に新会社を設立するそうです。背景には、建設業の深刻な労働力不足があります。
(2017年7月20日朝日新聞デジタル)
(写真は、新事業発足を発表する会社の幹部ら。コマツの大橋徹二社長は左から2番目、NTTドコモの吉沢和弘社長は左から3番目)

10年で技能労働者が110万人辞めていく?

 コマツは、この新事業を発表したニュースリリースで、「建設業界では、技能労働者340万人(2014年時点)のうち3分の1にあたる約110万人が、今後10年間で高齢化等により離職する可能性が高い」と説明しています。コマツをはじめとして、建設業の深刻な労働力不足にICT(情報通信技術)を活用しようという動きは各地で見られます。

ICT導入が建設業界に“革命”起こす?

 建設業界のICT活用の動きは全国的です。たとえば、朝日新聞の青森全県版「ICTセミナー開催」(2017年2月25日付朝刊)によると、青森県が青森市内で開いた「i-Construction」推進セミナーで、「ドローンで撮影した建設現場の写真を市販のパソコンソフトによって立体的に表現することで、2次元の図面に比べ、一見して現場の状況が把握でき、理解不足によるやり直しなどの手間が省ける」という具体例が紹介されたそうです。ICT導入について、記事は「建設業界で『革命』と期待されている」と指摘しています。
 さらに秋田県でも、県内の建設業界の深刻な人手不足の対策として、県の入札事業の一部で入札条件に、女性技術者登用や完全週休2日制の実施と並んで、「ICTの活用」を条件に挙げたモデル工事の入札を実施したそうです(2017年6月6日付朝刊青森全県版より)。
(写真は、ICTを生かし、建設現場のデータも集めるコマツの建築機械)

ビッグデータを建設各社で共有してメリット

 コマツなど4社が作るのは、調査・測量から設計、施工までの建設現場の全プロセスに関わる「LANDLOG(ランドログ)」というプラットフォームです。ランドログで、人員配置や機械、地形、土壌、資材など、さまざまな現場の状況をリアルタイムに「見える化」し、集積されたビッグデータをAIで解析することで、仕事の最適化を目指しています。従来は、建設現場のデータは建設会社1社ごとに管理されていました。しかし、ランドログにデータを集約し、公開されたデータを建設各社が共有すれば、たとえば、建設機械の稼働状況についてもメーカーや種別を問わずに一目で把握できたり、複数の企業が参画する大型建設プロジェクトでも適切なオペレーションが可能になったりするでしょう。ICTを駆使したランドログのようなプラットフォームの仕組み作りが急がれるのも、実は建設業の労働力不足が各社の個別努力だけでは乗り切れない段階に来ている証拠ともいえます。

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