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2017年07月14日

USENのオフィス用BGMが、残業時間を短縮?

レジャー・アミューズメント

終業時間に音楽流すと効果あり

 最近、違法残業に厳しい目が向けられているため、残業を減らそうと終業時間に音楽を流して退社を促す会社が増えているようです。実際、音楽を流すと残業時間を削減する効果があるのだとか。有線放送サービス大手USENのオフィス向け音楽配信サービス「Sound Design for OFFICE」は、サービスを開始した2013年度から利用企業が4倍に増え、数千社にのぼるそうです。
(2017年7月10日朝日新聞デジタル)
(写真は、USENのオフィス用BGMサービスで使われている受信機です=USEN提供)

残業時間が「24%削減」

 音楽はむろん終業時間以外にも普通のBGMとして配信されますが、終業時刻に流すことが、その日の仕事に区切りをつける合図になるようです。三井ホームでは午後6時になるや、映画「ロッキー」のテーマが流れるそうです。職場では「音楽が区切りになってだらだらと職場に残らなくなり、帰りやすい雰囲気になった。帰宅は2時間ぐらい早くなった」といった声があがっています。同社は14年10月から、Sound Design for OFICEを導入しましたが、以前と比べて「概ね24%くらい残業時間が削減されています」(USENの公式サイトの「導入事例」紹介より)とのことです。
(写真は、「ロッキーのテーマ」を聞きながら慣れた様子で席を立ち上がる三井ホームの社員たち)

企業によって終業時の曲が違う

 三井ホームが使っているUSENのシステムは1フロ5000円で、「クラッシク モーツァルト」など94チャンネルから選べ、午後6時になると「ロッキー」を流すチャンネルに自動的に切り変わるようになっています。
 もともとUSENは電線を使った有線ラジオで楽曲を飲食店に流すことが事業の出発点でした。環境音楽からジャズ、クラシックなど、さまざまなジャンルの“音楽ライブラリー”を独自にもっていることが同社の強みです。それを活用し、各企業にオーダーメイドのBGMを提供できるのだといいます。USENだけでなく、独自に終業時に音楽を流す企業は他にもあります。たとえば野村不動産は10年以上前から週1日の「ノー残業デー」の午後5時40分から、あの「遠き山に日は落ちて~」(ドボルザーク作曲「新世界より」第2楽章)が流れるそうです。終業の曲でも企業によってずいぶん雰囲気が違うのもおもしろいですね。
(写真は、1960年代の有線放送の様子。当時はレコードを使って手動で曲をながしていました。主な得意先はバーや喫茶店などでした)

職場の雰囲気を「音」で感じる?

 音楽心理学の研究では、オフィスでBGMを聴くことにはリラックス効果があるとされます。2015年に労働安全衛生法が改正され、50人以上が働く事業所で医師のような専門家によるストレスチェックが義務付けられたことも、USENのオフィス向けBGMサービスの追い風になっています(「快適オフィス、気分上々 机の高さ自在 BGMでストレス軽減」2016年8月19日朝日新聞デジタル)
 会社が事業展開できるのも従業員が元気に働いてくれればこそ。残業を減らしストレスを軽くする職場のBGMは、これからますます需要があるでしょう。インターンシップや会社訪問する際、職場の雰囲気を観察するのに「音」にも注目するとよいですね。

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