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2017年06月06日

夢の「空飛ぶクルマ」開発、トヨタが資金援助

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無人運転の次の主戦場?

 空飛ぶクルマは、映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」や「ドラえもん」に登場しました。未来社会では、あんなクルマが飛び回っているのか、と夢想した人もいると思います。その空飛ぶクルマが、遠くないうちに現実のものになるかもしれません。ベンチャー企業の中には年内に発売を考えているところがあり、大企業も開発に乗り出そうとしています。日本でも、トヨタ自動車が若手研究者たちを支援することにしました。実用化が見えてきた無人運転車の次は、空飛ぶクルマが開発の主戦場になるのでしょうか。
(2017年6月4日朝日新聞デジタル)
(写真は、開発実験中の「空飛ぶクルマ」が浮き上がる様子です)

トヨタが4250万円支援

 トヨタが支援するのは、自動車や航空機業界の若手技術者らでつくる「CART!VATOR(カーティベーター)」。2020年の東京五輪の開会式で空飛ぶクルマを使って聖火を灯すことを目指し、2025年には発売したい考えです。トヨタグループは今年5月、開発資金として4250万円を出すことになりました。(写真は、カーティベーターの技術者たち。小さい試作機を手に持っているのが代表の中村翼さん=2016年9月21日付、朝日新聞夕刊名古屋本社版に掲載)

ウーバーは「空飛ぶタクシー」発表

 トヨタがお金を出す背景には、世界では空飛ぶクルマの開発機運が盛り上がっていることがあります。ライドシェア(相乗り)大手の米ウーバー・テクノロジーズは、4月25日に「空飛ぶタクシー」の開発計画を発表しました。ブラジルの旅客機メーカー、エンブラエルなどと組んで小型の垂直離着陸機を開発し、3年以内の試験飛行を目指すとしています。
 また、航空機メーカーの欧州エアバスは空飛ぶクルマの研究を始めており、エアバス・ジャパンのビニョン副社長は5月30日、「7~10年以内に実現したい」と発言。グーグルの共同創業者であるラリー・ペイジ氏が出資している米新興企業キティホークは4月24日、空飛ぶクルマの試作品の動画を公開しました。水上から垂直に離発着できる超軽量機で、年内には発売できる見通しだとしています。このほかにも、開発している企業はいくつかあり、「空飛ぶクルマ開発元年」といった様相を呈しています。
(米キティーホークの「空飛ぶクルマ」の動画はこちら)

主流はドローンタイプ

 空飛ぶクルマには2種類あります。滑走路の必要なタイプと必要でない垂直離着陸できるタイプです。滑走路の必要なタイプはより飛行機に近いものになるため、機体自体の開発は難しくありません。滑走路のいらないタイプは、車輪のついた大きなドローンのようなもので、開発は難しくなります。ただ、滑走路が必要なものは実用化のメリットが小さいため、開発の主流は垂直離着陸できるタイプになっています。

最大の問題は乗客の不安

 空飛ぶクルマの利点は、何といっても渋滞知らずのところでしょう。空はすべてが道路といってもいいわけで、どこでもスイスイ行けるというわけです。発展途上国などでは、そもそも道路が整備されていないところも多く、そういうところでも短時間で移動できることになります。
 もちろん実用化にはたくさんのハードルがあります。機体の開発自体も大変ですが、こちらは時間とお金をかければ完成にこぎつけられると想定できます。ただ、事故が起きないようにするための法規づくりは難しそうです。自動車でも飛行機でもない新しい乗り物の法規ですから先例がありません。事故は命にかかわる可能性が大きく、慎重に決めなければなりません。また、充電設備をどこに設置するかとか、離着陸の場所をどこにするかなども簡単ではありません。そして最大の問題と考えられるのが、乗客の不安をどう解消するかです。巨大な飛行機でも少々の不安を感じる人が多いと思いますが、ドローンのようなものに乗って空を飛ぶのに不安を感じない人は少ないでしょう。

見方分かれる実用化の時期

 ビジネスの基本は、将来の需要を読んでいち早く需要を満たす策を考えることです。ただ、あまりに遠い将来の需要だと、実現するまでにエネルギーを使い過ぎて割に合いません。今開発に乗り出している企業は、そう遠くない将来に空飛ぶクルマの時代が来るとみているのでしょう。もちろんそれに否定的な見方もできます。あなたはどう思いますか。

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