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2016年11月15日

マイナス金利に苦しむ銀行

銀行・証券・保険

3メガ銀の減益 年1700億円見通し マイナス金利の影響

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、三井住友FG、みずほFGの3メガバンクグループが発表した2016年9月中間決算は、純利益がいずれも減益でした。日本銀行が今年1月から始めたマイナス金利政策の影響を受けています。マイナス金利政策は当分続きそうですし、トランプ氏の米大統領選勝利で世界の金融は先行きが不透明になっています。銀行業界はしばらく厳しい時代が続きそうです。
(2016年11月14日朝日新聞デジタル)

(写真は、マイナス金利導入後、金融機関同士のお金の貸し借りを仲介する会社内の光景です。「0.00%」「0.001%」という低い金利で貸したいという注文がホワイトボードに書かれています)

利ざやが小さくなる

 「マイナス金利政策」とは、日本銀行が一般の銀行から預かるお金の金利の一部をマイナスにしたことを指します。一般の銀行は、お金を預けると日銀にお金を払わないといけなくなるので、お金を預けずに民間への貸し出しや運用に回します。そのため、景気や物価の上昇が見込めるという狙いです。

 日銀がマイナス金利にすると、市中の金利も連動して下がります。たとえば、一般の銀行が貸し出す金利は、「もっとみんなに借りてもらおう」と競争し、さらに下がりました。ただ、預金金利のほうはマイナスにはできませんでした。

 もしマイナスにすると、家で持っている「タンス預金」のほうが得になるわけで、多くの人が預金を下ろそうとするでしょう。それでは、銀行は成り立ちません。ということで、実態としては金利はゼロが下限となります。

 預金金利は、日銀がマイナス金利政策をとる前からほぼゼロでしたから、ほとんど下がりませんでした。銀行は、基本的に貸出金利と預金金利との差でもうけています。この差を「利ざや」と言います。マイナス金利政策によって銀行は貸出金利を下げましたが、預金金利はほんの少ししか下げられなかったため、利ざやが小さくなって利益が小さくなったのです。

地方銀行はもっと大変

 実は、メガバンクは地方銀行に比べるとまだいい方です。都市部では、資金需要の強い伸び盛りの企業もありますし、開発案件も比較的たくさんあります。一方、地方では、人口減少が進んでいて、資金需要は弱まる傾向にあります。「銀行からお金を借りたい」という企業や人が少ないわけです。

 そのため、地銀は、メガバンク以上に利ざやが小さくなります。また、国債を買ったり、日銀に預けたりして運用する部分も多くなり、マイナス金利の影響をより強く受けることになっています。

先行きは不透明

 これから先ですが、マイナス金利政策は当分続きそうです。物価上昇の気配は見えず、デフレに逆戻りの心配もあるからです。加えて、トランプ新大統領の政策への不安があります。

 トランプ氏は選挙期間中、保護貿易をイメージする発言を繰り返していました。保護貿易となると、アメリカはドル安政策をとるはずです。ドル安になると、円高になります。円高になると、ドル建てで稼いだ海外の利益を日本に持って帰ると、小さくなります。それに貿易自体が縮小すると、金融も不活発になります。

 トランプ氏の政策がまだあまりにも不透明なため、はっきりしたことは言えませんが、銀行にとっても不安材料の方が多いような感じです。ただ、金融は「経済の血液」と言われるくらいなくてはならないものです。当分は厳しい時代が予想されますが、追い風の時代も必ずあります。長い目で見れば、悲観的になる必要はないと思います。

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