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2016年10月21日

ペプシコーラから砂糖が減る? その背景は

食品・飲料

ペプシコ「砂糖減らします」 健康志向に配慮

 世界各地でペプシコーラなどを売るペプシコが、飲料製品の砂糖を大幅に減らします。ニューヨーク発の記事によると、消費者の健康志向で甘い炭酸飲料離れが起きたり、本拠地の米国で自治体から「ソーダ税」導入の動きが出たりしているとのこと。こうした流れは、米国だけではありません。

(2016年10月19日朝日新聞デジタル)

ペプシコーラ1本に角砂糖何個分の糖分?

ペプシコは同社製品の3分の2以上について、2025年までに砂糖のカロリーを12オンス(約355ml、ペプシコーラ1本分)当たり100キロカロリー以下に抑える方針ですが、今のペプシコーラ1本だと約150キロカロリーあるそうです。150キロカロリーを単純に角砂糖(3~4g)に換算すると10個前後になってしまいます。

糖質ゼロのコーラは日本発だった

 日本で販売されているペプシストロング<ゼロ>は人工甘味料を使い糖質はゼロ。この糖質ゼロのシリーズを開発したのは、ペプシ製品の国内の製造・販売権をもつサントリーです。初めて米国以外で開発されたペプシとして2006年に登場したシリーズです。現代人の健康志向・砂糖離れのニーズを先取りした商品ともいえるでしょう。

(写真は、特定保健用食品として開発され、2012年に発売された「ペプシスペシャル」。脂肪の吸収を抑えて排出を増やす、という健康志向の商品です)

WHOが税金をかけることを提案

 ペプシの記事が載る前日、同じニューヨーク発で、「糖分入り飲料に課税提案 WHO、生活習慣病防止のため」(朝日新聞デジタル10月17日)という記事もありました。WHO(世界保健機関)が、生活習慣病の防止に向けた財政研究の報告書の中で「糖分を含む飲料などに課税すれば、病気を減らし、命を救える」と提言しているそうです。たばこ税と似た発想ですね。

健康のためには砂糖1日小さじ6杯めど

 「肥満・虫歯のリスク高める糖類取りすぎに注意」(朝日新聞10月1日付朝刊)という記事がありました。それによると、WHOは、1日の糖類摂取量をエネルギー総量の10%未満、さらに健康になりたいなら5%未満に減らすことを勧めています。

 5%の目安は約25g、ティースプーン(小さじ)6杯=約25gだそうです(野菜や果物、牛乳に含まれる糖類は別)。これでは、糖類たっぷりのコーラは1本でアウト!?

グローバル飲料、ペプシコーラが投げかける健康課題

 ペプシの砂糖減量宣言とWHOの糖分入り飲料の課税提案の二つの記事は、まるで呼応するかのようです。コーラ飲料は19世紀に出来た米国の伝統飲料、アメリカの象徴のような飲み物ですが、いまやグローバル飲料でもあります。

 <コーラの砂糖をめぐる健康問題>は、けっして米国にとどまらず日本の課題にほかなりません。業界研究をするうえでは、海外発の記事でも自分に引き付けて考えることが大切です。

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