パナソニック、米冷蔵庫会社買収へ 1900億円で(朝日新聞2015年12月22日朝刊)
パナソニックが業務用冷蔵庫の米国老舗メーカー「ハスマン」を買収する。ハスマンはスーパーやコンビニ用の冷凍・冷蔵ショーケースでは北米2位。買収によりパナソニックのショーケースなど食品流通部門の売上高は2000億円超になり、世界トップの規模という。
パナソニックが業務用冷蔵庫の米国老舗メーカー「ハスマン」を買収する。ハスマンはスーパーやコンビニ用の冷凍・冷蔵ショーケースでは北米2位。買収によりパナソニックのショーケースなど食品流通部門の売上高は2000億円超になり、世界トップの規模という。
この記事によれば、パナソニックは2018年度に全体の売上高10兆円(2014年度の実績は7兆7150億円)という目標を掲げていて、業務用冷蔵庫のような安定して売上が見込める「企業向け製品を強化」しているとのことです。食品流通部門も2018年度には3000億円まで伸ばす計画でしたが、メドが立ち、目標を引き上げる方針といいます。
パナソニックはもとは松下電器という社名で、テレビや冷蔵庫、洗濯機などの家庭向け耐久消費財をつくる“家電メーカーの雄”としてテレビCMでもおなじみでしたね。ところが韓国や中国勢との価格競争、円高、リーマンショックを経て、他の電機メーカーとともに巨額赤字を経験しました。では、いまはどうかというと――。朝日新聞2015年7月30日朝刊(大阪本社発行)に「自動車・企業向け好調 4~6月期 住宅関連は落ち込む 変わるパナソニック」という記事があります。4~6期の売上高は0.3%増の1兆8578億円。この数字について、「力を入れている自動車関連などが順調に伸び、狙い通りのスタートを切ったといえる。一方で気になるのが、住宅関連のもたつきだ」と、指摘しています。自動車関連で伸びたのはカーナビや通信機器など。もうひとつ見出しにある「企業向け」事業は、航空機向け情報通信機器などです。
住宅関連は近年、パナソニックの「構造改革」断行の中でも着実に利益をだし、会社を下支えしています。ところが、今年4~6月期に限っていえば、「太陽光パネルの販売が減るなど、営業利益は7%減って765億円になった」と報じています。この記事の解説部分の中見出しは「逆風下の『優等生』復調がカギ」。年度後半に住宅関連部門が巻き返せるかにパナソニック全体の目標達成の成否がかかっているというわけです。つまり住宅関連事業は、いまのパナソニックの主要事業になっているのです。
12月22日の「今日の朝刊」でも触れましたが、もはやパナソニックは、かつてのようなBtoC(顧客が一般消費者)中心の家電メーカーではありません。冒頭の記事からはBtoB(顧客が企業)の事業で利益をあげていこうというパナソニックの企業戦略が見てとれます。過去の栄光にしがみつかず、脱皮して新たな分野を開拓していかなければならない変革の時代です。みなさんも、企業を知名度で見るのでなく、その企業がいま何をし、何を目指しているのか、しっかり見極めてください。
2024/12/04 更新
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