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2015年12月10日

トヨタ、人気の新型プリウスの〝新しい設計法〟って?

自動車・輸送用機器

トヨタ、新型プリウス発売(2015年12月10日朝日新聞朝刊)

 トヨタ自動車は9日、看板のハイブリッド車(HV)「プリウス」の新型車を発売した。6年半ぶりに全面改良した4代目プリウスの燃費は、最も良いモデルで世界最高のガソリン1リットルあたり40.8キロにした。事前に受け付けている予約は6万台に達しており、納車待ちが4カ月近い人気という。トヨタが新しい方法で設計した車の第1弾でもある。

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 燃費だけでなく、「これまで弱点だった走りの性能にも力を入れた」と記事にあります。重心を2センチ下げ、モーターを強力にするなどで、より安定してカーブを曲がることができ、加速性も高めたそうです。加藤光久副社長は発表会で「これから続く『もっと良いクルマ作り』に向けたチャレンジの始まりとなる」と語りました。

 しかしこの記事だけだと、どこが新しい方式の設計なのか、もうひとつわかりませんね。トヨタのホームページ(http://www.toyota.co.jp/jpn/tech/quality/)などによれば、それはトヨタがTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)と呼んでいる設計手法です。これまで個別車種ごとにしていた企画・開発について、「走る・曲がる・止まる」に関わる基本部分については複数の車種をまとめてグループとして同時に開発し、ユニットや部品を「賢く共有する」。それにより生まれた開発余力を「お客様の好みにあわせた内外装や走りの味付け」など、地域ごとの商品の最適化に重点投入するといいます。TNGAのG(グローバル)については、これまで部品や部品同士のつなぎ方などでトヨタ独自の規格だったものに世界標準規格を採用するとのこと。部品調達の幅が広がるメリットもありそうです。

 新方式の内容を煎じ詰めると、<生産の効率化と商品の個別化>ということになりそうです。一見、相反する要素をともに実現させようという野心的な試み。高性能の新型車が売れ行き好調というニュースに飛びつきがちですが、その背景にメーカーのどんな戦略があるのか、そういうところまで踏み込んで記事を読んでみましょう。

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