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2015年09月01日

防災ビジネス、どうすれば成功する? 携帯トイレいまだ普及せず

化粧品・生活用品

防災、トイレも備えを 携帯・簡易、進まぬ備蓄に業界懸念(2015年8月29日朝刊)

 災害に備え、何を蓄えている? 飲食料、衣料は当たり前だが、トイレ用品は認知度が低く、備蓄も遅れている。大地震で上下水が長く止まることも多く、業界団体などは備えを呼び掛けている。9月1日は、防災の日だ。

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 紙おむつや生理用品などを手がけるユニ・チャーム。近日中にアップ予定の「人事のホンネ」に登場いただきますが、そのインタビューの中にこんなコメントがあります。
「当社の商品は普段は空気のような存在で、皆さん何となく使ってくださっていますが、たとえば災害があるとすごくクローズアップされます。学生にも『我々の商品はなくても命はとられないが、ないと人間的、文化的生活ができないベーシックな商品』だと説明しています」

 トイレ関連商品も、典型的な「ベーシック」商品ですね。ふだんは何げなく使っていますが、災害でライフラインが止まると一転、人間的な生活ができるかどうかを左右する重要な商品となります。今回の記事によれば、南海トラフ地震が発生したときに必要な災害用トイレの備蓄は4日間で5442万回分だが、災害時に供給できるのは113万回分(経済産業省調べ)、圧倒的に足りない――とのことです。経産省は防災の日を機に家庭などで携帯トイレや簡易トイレの備蓄を呼びかけていますが、普段つかわないものは流通量も少なく普及は容易ではありません。

 防災グッズは確かに災害時に一気に需要は上がりますが、定期的、継続的に売れるものではないので主力商品にはなりづらいという考え方もあります。環境対策が「エコ」「省エネ」というキーワードを軸にビジネスとして浸透していったことを考えると、防災ビジネスはまだ発展途上のジャンルと言えそうです。減災のための火災報知機や防災無線などハードウェアから身近な防災グッズまで、誰をターゲットにしてどういうニーズをくみ取るかが成功のカギとなるでしょう。おしゃれで機能的な防災グッズのブランドを作るなど防災啓発に取り組む任意団体「防災ガール」など、面白そうな動きもあります。ぜひチェックしてみてください。

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