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2015年07月17日

耐熱真空ガラスと住宅エコポイント 切っても切れない関係?

建設・不動産・住宅

断熱真空ガラス「生産能力倍増」日本板硝子、2020年までに(朝日新聞7月14日朝刊)

 ガラス世界3位の日本板硝子の森重樹社長は、断熱効果が高い真空ガラスの生産能力を2020年ごろまでにいまの2倍にする考えを示した。住宅リフォームの拡大や環境意識の高まりに対応する。(朝日新聞7月14日朝刊)

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 2020年3月から「住宅エコポイント制度」が始まっています。朝日新聞3月11日朝刊「住宅エコポイント三たび開始」によると、省エネ性能が高い住宅を新築したり、窓や壁を断熱化するリフォームをしたりすると最大45万ポイント(45万円相当)が付き、追加工事の費用に充てたり、カタログ雑誌「通販生活」のエコ商品や図書カードなどに交換できます。2014年12月27日から2016年3月末の間に着工し、国土交通省の基準を満たす住宅が対象。この制度、2009年、2011年に続いて3度目になります。断熱真空ガラスのセールスにとっては格好の制度です。

 真空ガラスとは、2枚の板ガラスによって真空状態の層をサンドイッチしたもの。真空の中では熱は伝わらない性質を利用し、断熱効果を持たせたもので、ステンレス製の魔法瓶と同じ理屈です。しかし、もろいガラスにどう耐久性を持たせるか、薄くできるかなど技術的なハードルは高く、日本板硝子が1994年に世界で初めて量産化に成功しました(商品名はスペーシア)。同社は「厚さは1枚ガラスとほぼ同じで断熱効果は約4倍」と説明しています。

 このところ、住まいをリフォームして長く大切に住みたいという人が増えてきています。生活防衛のため、親の家を二世帯住宅にして同居するという話もよく聞きます。しかし国土交通省によると、日本の全住宅流通量に占める中古住宅の流通シェアは約14.7%(2013年)であり、近年ではシェアは大きくなりつつあるものの、欧米諸国と比べると6分の1程度なのです。
 政府は少子高齢化で国内市場が狭まるなか、環境にもやさしいリフォーム住宅をまだまだ伸びる分野として後押ししています。国土交通省のHPなどによると、国は2020年までに中古住宅流通・リフォーム市場の規模をこれまでの倍の20兆円市場する構想を打ち上げています。

 あれれ? 国の中古リフォーム市場倍増化計画と日本板硝子の森社長の「真空ガラスの生産能力2倍に」発言、どちらも同じ「2020年をメドに2倍」じゃありませんか。これって偶然とも思えませんね。業界や企業の経済記事のウラに国の政策が潜んでいることって、よくあります。そういうところも新聞を読んでいると気づきます。新聞でニュースセンスを磨いてください。

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