「本物のビール」で勝負 大手4社、今年の戦略 (1月10日朝日新聞朝刊)
ビール大手4社の今年の販売戦略が9日出そろった。キーワードは「高級」と「主力のてこ入れ」。ビールの税率を引き下げ、「第3のビール」などとの差を縮める酒税改正の機運も背景に、ビールそのものに力を入れる動きが強まりそうだ。
ビール大手4社の今年の販売戦略が9日出そろった。キーワードは「高級」と「主力のてこ入れ」。ビールの税率を引き下げ、「第3のビール」などとの差を縮める酒税改正の機運も背景に、ビールそのものに力を入れる動きが強まりそうだ。
大手のビール会社は毎年、新しい年が明けた1月初めごろに、向こう1年間の事業計画を発表するのが恒例行事になっています。今年も初春のならわしに従い、各社から相次いで戦略発表がありました。そこでそろって打ち出されたのが、この記事の見出し。
「本物のビールで勝負する」
ということです。
あたりまえじゃないの、と簡単に終わらせてはいけません。ビール会社が「これからはビールで勝負する」とわざわざ表明するということは、これまではビール以外で勝負してきたことの裏返し。さて、それは何だったのでしょうか。答えは翌週の記事にありました。
1月16日、こんなニュースが出ています。
「ビール系出荷、10年連続減少」
2014年のビール系飲料の出荷量が、前年よりも1.5%減って、統計を取り始めた1992年以降の過去最低を更新しました。
この落ち込みの背景に、何があるのでしょうか。朝日新聞の記事では紙面に余裕がなくて詳しく触れられていないのが残念ですが、実は昨年はひとつの曲がり角でした。これまで酒税が安いなどの理由で各メーカーにとって伸び盛りの商品となっていた「第3のビール」が、ついに初めて前年比マイナスに転じたのです。
第3のビールとは、大豆やエンドウ豆などを原料にして製造されるビール風味の飲料のこと。味も見た目もビールそっくりですが、酒税法上の「ビール」ではありません。最大の強みだった「安価さ」というメリットも、今後は酒税改正で薄れるとみられますが、実はすでに市場では一足先に限界を迎えていたわけですね。
だからこそ、これからの各社の戦略は「本物のビール」。さあ今年、どんな美味しいビールが登場するのか。期待とともに注目したいところです。
2024/11/21 更新
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