いつも心にエンジェルを。
なんだかエンジェルじゃないシビアな話が続いてごめんなさい。先週、紹介した労働者派遣法改正案が衆議院で可決されましたね(前回も読んでね)。3年ごとに働き手をかえれば企業が派遣社員をずっと受け入れられるという内容です。今回はその対案として同時に可決された「同一労働・同一賃金」推進法案について考えます。
なんだかエンジェルじゃないシビアな話が続いてごめんなさい。先週、紹介した労働者派遣法改正案が衆議院で可決されましたね(前回も読んでね)。3年ごとに働き手をかえれば企業が派遣社員をずっと受け入れられるという内容です。今回はその対案として同時に可決された「同一労働・同一賃金」推進法案について考えます。


そもそも「同一労働同一賃金」とは、性別や雇用形態、年齢、人種、国籍など働く人の属性にかかわらず、同一の仕事には同一の賃金水準を適用すべし、というごく真っ当な原則です。国際労働機関(ILO)では、同原則をILO憲章の前文に挙げており、基本的人権の一つと考えられています。国際人権法では、勤労権に関して、いくつかの条文で『同一労働同一賃金』を明記しています。
一方、正社員と非正規社員の賃金格差については、責任の重さ、働き方の違い、たとえば転勤を伴う異動の有無など、さまざまな違いを根拠として賃金格差が「適法」であるとして「放置」されてきたのです。相場としては派遣社員の賃金は同じ業務に従事している正社員の約7割といわれています。
当初案にあった「職務に応じた待遇の均等の実現を図る」という、最も核をなすべき文言が、「待遇の均等および均衡の実現」に変わりました。均衡とはバランスという意味で、均等とはまったく異なります。さらに「職務に応じた」を「その業務の内容及び当該業務の責任の程度その他の事情に応じた」という長い前置きに変わっています。つまり、派遣と正社員では、労働時間や休日が違う、部署での地位が違う、など、さまざまな「事情」で、賃金の違いを正当化することができます。 





