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2014年10月15日

すかいらーく 8年ぶりに再上場 郊外から駅前へシフト

外食

すかいらーく再上場 8年ぶり 時価総額、外食2位 (10月10日朝日新聞朝刊)

 ファミリーレストラン「ガスト」や和食店「夢庵」などを経営する外食大手すかいらーくは10月9日、東証1部に再上場した。上場は2006年に経営陣による買収(MBO)で廃止して以来8年ぶりだ。

【目のつけどころ】なぜ再上場できた? 外食産業の流れに注目

 みなさんはファミリーレストランによく行きますか? 居酒屋は高いしファストフード店は落ち着かないという時、ファミレスは便利な存在ですね。リーズナブルな値段で定評のある「ガスト」や中華専門の「バーミヤン」など約20ブランドを経営しているのが、業界最大手の「すかいらーく」。1970年に第一号店が開業して以来「すかいらーく」はファミレスの代名詞的存在でしたが、2009年を最後にこの名前の店舗はすべて閉店。いまではすかいらーくが店の名前だったことを知らない人も増えてきたのではないでしょうか。

 そんな最大手企業が、ついに株の取引を行う東証一部に「再上場」を果たしました。記事にあるように8年前、すかいらーくは経営陣が自社の株を買い取るMBOにより株式を市場で売り買いできない「非公開」にしました。MBOの狙いは一般的には、市場からの評価を遮断して経営改革をしやすくするため。すかいらーくは00年代に入り不況の波を正面からかぶり、コンビニなどの「中食」やファストフード店に押されて採算割れの店が続出。経営改革を余儀なくされました。

 そこで手をつけたのが、業態の転換。1人あたりの単価が千円程度と割高感のあった「すかいらーく」から、もう少し安めの金額で利用できる「ガスト」に主力店舗の軸足をうつしていき、店舗としての「すかいらーく」は消滅しました。店舗数もピーク時の3分の2程度にまで減らした結果、2012年の売上高は約3295億円(連結)と直近10年で最も多い2007年(4017億円)に比べ2割減りましたが、営業利益は07年の約23億円から7倍増の155億円に。コストを抑えて利益をあげる会社に生まれ変わり、再上場を果たしました。今後はふたたび新規出店を加速していくそうで、狙い目は「駅前」。お年寄りに朝食をとってもらうこともめざし、「郊外で人気の和食店を小型化して出す」(谷真社長)といいます。

 デフレ時代に勢いのよかったファストフード業界は頭打ちで、代表企業である日本マクドナルド社は業績不振にあえいでいます。一方で今年4月には西武ホールディングスが東証1部に再上場を果たすなど、市場から一度退出した企業の復活も続きました。志望業界でもそういった動きはないか、注目してみてください。

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