業界研究ニュース

2017年05月09日

有機ELで「壁掛けテレビ」の時代へ

家電・総合電機

日本のメーカーから新製品続々

 かつては世界一のテレビ生産国だった日本ですが、最近は韓国や中国に押されて元気がありませんでした。ところが、今年になって東芝、パナソニック、ソニーと新製品の発表が相次いでいます。大型の有機ELテレビで勝負に出ているのです。有機ELテレビは、薄くて軽いのが特徴です。薄型テレビが出てきたときから言われた「夢の壁掛けテレビ」が、有機ELテレビなら現実に近づきます。テレビ自体は成熟した商品ですが、壁掛けテレビとなると新しい世界が広がりそうです。日本の電機メーカーは息を吹き返せるでしょうか。
(2017年5月9日朝日新聞デジタル)
(写真は、ソニーが今年6月発売する大型有機ELテレビ)

韓国LGからパネルを買う

 ソニーは8日、有機ELテレビを6月10日に発売すると発表しました。東芝は今年3月に、パナソニックも近く売り出す予定で、今年は「有機ELテレビ元年」と言われはじめています。ソニーは2007年に小型の有機ELテレビに参入しましたが、2010年に撤退しました。小型では有機ELの画質のよさが発揮されず、販売が振るわなかったためです。ここにきて、ソニーなど日本勢が有機ELテレビに再参入しているのは、55型以上の大型の有機ELパネルの量産に韓国のLG社が成功したためです。日本勢はパネルをLGから提供を受けて、大型で4Kの有機ELテレビを作れば売れるとみたためです。
(写真は、韓国LG社の大型有機ELテレビ)

厚さはミリ単位

 有機ELテレビが液晶テレビより優れているのは、画質がいいことと薄くて軽いことです。2020年の東京オリンピックに向けて画質の良さをアピールするとともに、薄さと軽さで壁掛けテレビにできることも視野に入れています。液晶は薄型テレビとはいえ、厚さが10センチ近くあります。これに対して、有機ELテレビの厚さはミリの単位です。LGが近く発売予定の壁掛けを強くアピールするテレビは3.9ミリです。重さも液晶テレビの3分の1くらいとみられています。液晶テレビでも壁の補強工事をすれば壁掛けにできますが、補強費用がかなりかかりますし、出っ張りが気になります。有機ELテレビなら補強工事も簡単で、まさに壁に掛けた絵のように見ることができます。

ブラウン管から液晶へ

 テレビは長くブラウン管が主流でした。しかし、奥行きが必要なので部屋が狭くなります。画面は丸みを帯びざるを得ないので画質に限界があり、電気もたくさん使います。こうしたことから、21世紀に入って薄型テレビに切り替わっていきました。薄型テレビは当初、液晶とプラズマのふたつがありましたが、消費電力が小さいことなどから液晶が勝ち残りました。業界では「次は有機EL」と早い段階から言われていましたが、大型にして量産することが難しく時間がかかっていました。
(写真は、1980年代に発売されたソニーの大型ブラウン管テレビ)

壁掛けはイノベーションになるか

 日本の電機メーカーは、シャープが象徴するようにここ10年ほどでテレビメーカーの主役の座を韓国や中国に奪われました。また、若者のテレビ離れが言われ、スマホやタブレットが映像を見る手段としての存在を徐々に大きくしています。ただメーカーとしては撤退するには大きすぎる商品ですし、イノベーションによっては一気に買い替えが進む魅力ある商品でもあります。壁掛けテレビはそうしたイノベーションになるかもしれませんので、注目です。

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