
■入社のきっかけ
──なぜ、吉本興業に入ろうと?
王 大学院のときは学術研究の方向に進もうと思っていましたが、新型コロナウイルス禍があり、自分の考えや価値観を考え直しました。本当に自分の目の前の人たちを幸せにしたいという気持ちが出てきて、自分の研究や論文で誰を幸せにできるのかなと。エンタメのほうがもっとたくさんの人に笑顔と感動を伝えられると思い、2022年に入社しました。
――吉本興業はお笑いの会社という世界的にも珍しい会社ですよね。存在はご存知でしたか。
王 バラエティー番組も見て日本語を勉強していたので、知っていました。リスペクトしている芸人さんはいろいろいますが、漫才日本一決定戦の「M-1グランプリ」で初めて司会の今田耕司さんを見たとき、「こんなに回しが上手な人がいるんだ」と感動しました。今田さんとは入社後、イベント出演のときに少しアテンドをしたぐらいですが、ご一緒いたしました。
宮本 王は、『吉本興業百五年史』という分厚い社史を全部読み込んでうちを受けに来たんです。
王 知れば知るほど、面白い会社です。吉本興業が日本の文化の一部、もともと一方言にすぎなかった「関西弁が面白い」という認識をつくり全国に広げたと考えています。文化研究の面でも面白い会社です。
──王さんから見て、吉本興業がここまで大きくなった理由は何だと思いますか。
王 『吉本興業百五年史』を見ると、本当に時代に応じて、いろんなことにチャレンジしていく会社です。映画を手がけたり、ボーリング場をつくったり、本当に日本のエンタメの歴史をつくってきたと思います。
宮本 一時期は、プロ野球も経営していました。
王 なんでもチャレンジするという歴史のうえに、SDGsへの取り組みもあるのかもしれません。いま私が所属しているコーポレート・コミュニケーション本部では、一夜で「吉本はSDGsで何ができるか」というアイデアを全社から集めました。臨機応変、柔軟性がほかの日本企業とは違うところかもしれません。
■王さんの仕事
──王さんが関わっているのはどういう仕事ですか。
王 コーポレート・コミュニケーション本部と、海外事業部を兼務しています。海外事業部では中国で吉本興業の招聘公演、中国のCMGという国営メディアとの共同番組制作をしています。
コーポレート・コミュニケーション本部では、「東京宝島」という東京都のPR事業を担当し、小笠原諸島など東京の11の島のPRをしています。ほかには外務省とJICAのグローバルフェスタの出演者の調整、ASC(水産養殖管理協議会)のイベントも主導しています。養殖は持続可能な漁業の1つとして、SDGsの観点からも欠かせない産業です。
宮本 漁業ではMSC(海洋管理協議会)がよく知られていて、正しい漁獲方法で取られたラベルのついたものを消費することを啓蒙しています。そのアンバサダーを、ココリコの田中直樹さんが務めています。そこからASCのPRにも協力しています。