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2017年06月27日

ウーバーでマックが届く!「出前」が新しいビジネスに

外食

外部のサービスで新たな需要開拓

 日本マクドナルドは配車アプリ大手の米ウーバーテクノロジーズの宅配サービス「ウーバーイーツ」の利用を都内ではじめます。外部の出前サービスを利用して新しい需要を開拓しようという試みです。ウーバーイーツ以外にも出前サービスをするアプリやサイトが増えています。人手不足で自前の配達員の確保が難しくなる中、インターネットのテクノロジーで配達員を確保するビジネスモデルが確立してきたためです。出前サービスは飲食店の救世主になるのでしょうか。
(2017年6月26日朝日新聞デジタル)
(写真は、マックの新定番バーガー「グランクラブハウス」です=日本マクドナルド提供)

登録した配達員に連絡

 マクドナルドが都内33店舗で導入するウーバーイーツは、クルマの配車サービスと同じ発想で設計したものです。利用者はウーバーイーツのアプリやサイトから料理を注文します。するとウーバーにあらかじめ登録している配達員に連絡がいきます。近くにいて配達できる登録者が請け負い、マクドナルドの店で商品を受け取って、注文者が指定した住所に配達します。配達員のほとんどは副業として登録、時間が空いた時に配達すればいいというスタンスのようです。
(画像は、ウーバーイーツのロゴです=ウーバージャパン提供)

自前の配達よりメリットも

 マクドナルドは自前の配達サービス「マックデリバリー」を持っており、配達料300円で1500円以上の注文から受け付けます。ウーバーイーツの配達料は380円と少し高いのですが、1個からでも注文できるため、1人の注文にも対応できるところがメリットになります。そもそも外食産業は人手不足で配達員の確保が難しくなっています。そのため、ウーバーイーツのようなネットを使った出前サービス専業者と組むことにしたわけです。

日本生まれのネット出前サービスも

 日本マクドナルド以外にも、大戸屋ホールディングスやあきんどスシローがウーバーイーツの利用を始めました。日本で生まれたネットによる出前サービスもあります。夢の街創造委員会の「出前館」や楽天が運営する「楽天デリバリー」などが大手外食産業に利用され始めています。
(画像は、ネットによる出前サービス「出前館」の画面です)

全国に広がっていくか

 ネットの強みのひとつは、簡単にマッチングができるということです。配達という仕事には熟練した技能は必要ないため、多くの人ができます。しかも一件の配達にかかる時間は短いため、本業の合間の休憩や休日を使って気軽にできます。ネット企業としては、できるだけ多くの人に配達員として登録してもらい、注文内容が配達員に届いて手を上げる人がいれば成立するというわけです。最近は、チェーン展開している大手外食産業だけでなく、有名レストランなども売り上げ増をねらって利用するところが増えているようです。そうすると、利用者にとっても利用価値があがり、ますます利用者が増えるという好循環になります。ただこのサービスは人口密集地でないと効率が上がりません。今のところ都内中心のサービスで、全国に広がっていくかどうかは分かりません。
 少し前まで出前が新しいビジネスとしてもてはやされるとは思いもよらないことでした。しかし、人々のニーズを新しいテクノロジーで満たそうと真剣に考える人がいると、新しいビジネスが日の目を見ることになるわけです。

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