健康志向、人口減が原因
日本たばこ産業(JT)の2017年の紙巻きたばこの国内販売が、1985年の民営化以降初めて1000億本を割り込んで、960億本(前年比9.6%減)になりそうです。健康志向によるたばこ離れ、人口減少が主な原因ですが、2017年12月期の営業利益(本業のもうけを示す値)も前年比5.6%減で、減収減益を見込んでいます。子会社などを合わせた連結で従業員4万4485人(2015年末)もいる巨大企業は、この先どうなるのでしょうか?
(2017年2月7日朝日新聞デジタル)
日本たばこ産業(JT)の2017年の紙巻きたばこの国内販売が、1985年の民営化以降初めて1000億本を割り込んで、960億本(前年比9.6%減)になりそうです。健康志向によるたばこ離れ、人口減少が主な原因ですが、2017年12月期の営業利益(本業のもうけを示す値)も前年比5.6%減で、減収減益を見込んでいます。子会社などを合わせた連結で従業員4万4485人(2015年末)もいる巨大企業は、この先どうなるのでしょうか?
(2017年2月7日朝日新聞デジタル)
実は、JTの決算短信(2016年12月期)を見ると、たばこの営業利益は国内(2602億円)より海外(3362億円)の方がいまや多いのです。市場が縮小する国内のたばこが頭打ちの中、2017年の営業利益予測で、海外のたばこ事業は5.9%増を見込んでいます。JTは、2007年に英国ギャラハー(買収額約2兆2000億円)、2015年に、通称「アメスピ」でおなじみ、米国たばこ大手レイノルズ・アメリカンの子会社「ナチュラル・アメリカン・スピリット」(同約6000億円)など、海外の有名たばこブランドをM&Aで次々と傘下に入れてきました。
さらに、医薬品事業では2016年に97億円、加工食品(冷凍食品や調味料)でも50億円の営業利益を出しています。医薬品は、抗HIV薬や抗がん剤などを傘下の鳥居薬品を通じて製造・販売し、ロイヤリティー収入をあげています。加工食品では、テーブルマーク(旧加ト吉)が、うどんやそば、パン、ごはんなどの冷凍食品で、また、富士食品工業がラーメンや鶏ガラ、和風、洋風などの各種調味料で頑張っています。2017年の経営計画では、医薬品と加工食品の両事業合わせて「100億円超の増益を目指す」「JTグループの利益成長を補完」とうたっています。
(写真は、テーブルマークの冷凍さぬきうどんです)
本業のたばこ商品でも、新機軸を打ち出しています。従来の葉を直接燃やす紙巻きたばこに対し、葉を電気で熱してミスト(霧)を吸う加熱式の無煙たばこ「プルーム・テック」(写真)を、昨年から福岡市やインターネットで売り出しました。あまりの人気に出荷が追いつかくなり一時発売を見合わせていましたが、6月から東京で、2018年からは全国で発売とのことで、ブームの兆しが見えています。
いままでは紙巻きたばこ頼みで、一本足打法のバッターだったJTは、マルチプレーヤーに切り替わるためあの手この手の努力をしています。大企業といえども、変化しなければ生きていけない時代ということを念頭に、業界研究、志望企業選びを進めてください。
2024/10/11 更新
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