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2015年10月13日

野菜の値段が高止まり、原因は何?

食品・飲料

(波聞風問)食品の価格 高止まりの先に何があるか(2015年10月11日朝刊)

 スーパーの売り場を歩いていて、昨年あたりから、肉、魚、野菜の値段が気になっている。たとえばホウレン草。しばらく、一袋198円程度というのが私の相場観だった。それが昨年あたりから298円が珍しくなくなった。肉も魚も値段をよく見てからでないと、おいそれと、かごには入れられない。そこで、コープこうべ(神戸市)に、30年来、家計簿を付けているグループを紹介してもらった。ある女性は「同感。これまでなら天候不順で値上がりしても、いずれは元に戻った。今はそのまま」という。別の女性は、月別の食費を見せてくれた。夫婦2人。昨年は4万円台半ばだったが、今年は5万円前後の月が多い。「3本百円だったキュウリが、安くても1本60円前後する」という。

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 ふだんの生活のちょっとした場面にも、ニュース感度や業界研究に役立つタネが眠っているという話です。今回取り上げるのは朝日新聞日曜朝刊の「波聞風問(はもんふうもん)」という記者のコラム。野菜が最近値上がりしているのでは? という話題です。こう言われて「確かに野菜が最近高い!」と共感できる方はどれくらいいるでしょうか。自炊したり毎日買い物にいく人でないとなかなか実感できないかもしれませんが、そういう人に言わせると確かにここ1年くらい野菜やくだものがずっと高く、ホイホイ買える雰囲気ではなくなっているそうです。

 理由はなんでしょうか。ぱっと思いつくのは天候不順や円安による輸入野菜、家畜のエサの値上がりですが、さらに円安だった時期と比べても今の値段は明らかに高止まりしているようです。このコラムではコープこうべの仕入れ担当者の「生産者の減少がじわじわ効いている」というコメントを紹介しています。日本の農家は後継者難、高齢化が進んでいるとかねてより指摘されてきました。農業生産量が急激に減っているというデータはありませんが、すでに価格が将来的な日本農業の空洞化を見越して動いている、という見立てもできそうです。

 TPPが大筋合意し、海外から安い農作物がこれまで以上に流入してきます。ただそれ以前にすでに日本の農業はみなさんが考えている以上に様変わり、場合によっては激しい空洞化が起きてしまっているかもしれません。その時、自分は社会人として何ができるでしょうか。食に関連するビジネスにつきたいと思っている人はもちろん、そうではない人もたまにはスーパーをぐるっと回りながら、日本の将来像について考えをめぐらす機会を作ってみてください。

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