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2015年10月06日

野球賭博が五輪に影響? スポーツと社会の関係探る

レジャー・アミューズメント

巨人・福田投手が野球賭博に関与の疑い 球団発表(2015年10月6日朝刊)

 プロ野球の巨人は5日、福田聡志投手(32)がプロ野球選手が禁じられている野球賭博行為に関わっていたと発表した。賭博行為は巨人戦でも行われた。巨人は同日、プロ野球を統括する日本野球機構(NPB)へ文書で概要を報告。久保博球団社長が東京都内で記者会見し、「プロ野球を愛する皆様、巨人ファンに深くおわび申し上げます」と謝罪した。警視庁は、近く巨人側に説明を求める方針。

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 2020年東京五輪の追加種目競技に選ばれるなど最近明るいニュースが続いていた日本プロ野球界に衝撃が走りました。人気球団・読売ジャイアンツ(巨人)で活躍していた選手が野球賭博をしていたというのです。もちろん賭博は違法行為ですし、それ以上に自分も所属するプロ野球の勝ち負けを賭けの対象としていたことで、プロ野球の公正な運営そのものに疑念を抱かせるという結果になりました。

 この問題は野球だけではなく東京五輪全体にも影響を及ぼしそうです。その理由が、導入が検討されていた「野球くじ」。プロスポーツ関連の公営ギャンブルといえば競馬や競艇、競輪、オートレースのほか、Jリーグの勝敗を対象にした「toto(スポーツ振興くじ)」があります。totoはスポーツ環境整備や競技力向上の財源確保のために2001年から売り出されましたが、国立競技場建て替え構想をうけ売上の5%を改築費にあてられるよう法改正されました。ところが改築費が上昇する見込みとなり新たな財源を探す必要に迫られ、今年浮上したのが野球くじ構想というわけです。遠藤利明五輪相は7月にスポーツ紙のインタビューで「球界に協力してほしい気持ちはある」とコメントしています。

 ただ、球界側は導入に慎重でした。その理由のひとつが、かつて日本球界を騒がせた1969年の「黒い霧事件」。暴力団関係者の依頼を受けた現役野球選手が八百長(真剣勝負ではなく事前の打ち合わせどおりに勝負の結末をつけること)に関与したとされ、当時の人気選手を含む6人が球界を永久追放になりました(1人はのちに処分解除)。投手と打者が1対1で戦う野球は八百長の標的になりやすいとも指摘されており、くじの導入にはいまも反発する声が大きいのです。

 今回の件を受け下村博文文部科学相は「こういう問題があると、もう当然、対象にはならないだろう」と指摘しています。新たな財源探しも今後急務となるでしょう。みなさんも今回の件をぜひ、スポーツとビジネス・社会の関係について考えるきっかけにしてみてください。また、五輪のような大きなプロジェクトには常に財源の問題がつきまとい、関連する業界や企業も想像以上に大きなものになります。ひとつの出来事からどんな影響が広がるのか、いつも意識しながらニュースをチェックしてみてください。

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