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2015年02月20日

日本郵政が豪物流大手買収、背景は?

運輸

日本郵政、豪物流を買収 (2月18日朝日新聞夕刊)

 政府が100%出資する日本郵政は2月18日、オーストラリアの物流大手トール・ホールディングスを買収すると発表した。トール社の全株式を約6200億円で買い取る。

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 陸運業界にいま、どんな変化が起きているか。全体像を把握するには、「数」と「量」に分けて見るのがコツのようです。あるいは「小口」と「大口」といってもいいし、「消費者向け」と「企業向け」といってもいいでしょう。
 端的に表現すると、現状はこうです。
「陸運は、取り扱いの数は伸びているけれど、量は減っている」
(陸運は、消費者向けは伸びているが、企業向けは減っている)

 では、それぞれを見てみましょう。まずは数。
 顕著なのは「宅配便の個数」の変化です。1990年代前半は年間で10億個程度の取り扱い数でしたが、90年代後半は20億個を突破し、2000年代後半には30億個を超しました。いまは40億個に迫っています。
 増加の大きな要因は、インターネット通販の成長でしょう。最近は「当日配送」などのサービス拡充によって、さらに利用者を増やしています。

 では次に量。これは貨物輸送量の総トン数を見るとはっきりします。2000年代前半は60億トン近くありましたが、後半には50億トンを割り込み、2010年代になると45億トン前後です。
 主因は、製造業の海外移転です。円高や人件費などを背景に、電機や衣料などさまざまな国内メーカーが、工場を東アジアなどに移転しています。この結果、国内での大型の貨物輸送が減少しているわけです。

 これらの背景を知れば、今回のニュースの背景が見えてきます。
 「陸運業界は、国内では宅配が激しい価格競争を展開しながら、企業物流では海外での市場拡大を図っている」
 この大きな流れの中で、日本郵政は豪メルボルンに本社をおくトール社を完全子会社化し、海外物流を強めます。
 ほかにも物流業界のM&A(合併と買収)の動きは数多くあります。最近では、近鉄エクスプレスがシンガポールの物流会社を買収すると発表しました。一方で、日本電産は物流事業の子会社である日本電産ロジステックスを売却しました。一層の成長に向けて、変化が続いています。

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